予想通りの据え置きではあるが・・・
11月20日、中国人民銀行は、銀行貸出金利の指標となるローンプライムレート(LPR)を、 1年ものは3.45%、5年ものは4.20%にそれぞれ据え置いた。先週、人民銀行は、LPRの指針とされる1年もの中期貸出制度(MLF)融資の金利を据え置いっており、LPRも据え置かれるとの予想だった。中国では1年ものLPRが新規・既存融資の、5年ものLPRは住宅ローン金利の基準になっており、貸出に影響を与える。
10月の経済指標は軟化
中国では、9月には、経済指標が鉱工業生産や小売売上高などで回復するなど、景気底打ちの兆しも見られたが、10月に入っても不動産市場では住宅価格が続落するなどデフレ圧力が加速している可能性も見え、景気回復の力強さがないことが懸念されている。国内消費は盛り上がらず、中国経済が持続的な回復に向かうには、追加の政策支援が必要との観測も根強い。一方で、為替市場で、人民元は軟化傾向を強めており、人民銀行としては、金融緩和が人民元に繋がりかねないことに留意せざるを得ない。また、金融当局としては、これまで段階的に利下げや準備率の引き下げを通じて行ってきた金融緩和が、需要喚起に資する効果を見極めようとしている。
これまでの流れを考えれば、中国経済の勢いが回復しない以上、人民銀行は早晩、追加緩和措置を実行することを迫られるだろう。人民元に対する下落圧力となることを懸念しているのであれば、ドル金利が低下する流れがより鮮明となれば、金利引き下げは、早期に行われることになるのではないか。