7月24日、中国共産党中央政治局は、習国家主席が主宰して、中央政治局会議を開催した。その会議のメイントピックは、中国国内の経済状況で、共産党としての政策は、穏健な金融政策と積極的な財政政策を堅持し、マクロ調整を的確かつ力強く実施していくとの方針が示されたという。
中国政府が掲げる正式な2023年の経済成長率目標は5.0%前後である。しかし、国内では、需要が伸び悩んでおり、その達成を危ぶむ声が大きくなっている。中国政府には、景気刺激策を求める声は高まっている。金融市場では、速やかに不動産政策の緩和や財政支出拡大といったより具体的な景気刺激策が打ち出されることを期待している。
不動産デベロッパーは苦境に
足元では、不動産開発業者が資金繰り難に陥っている。7月第3週には、政府系不動産開発会社である緑地控股集団(グリーンランド・ホールディングス)がデフォルトに陥った。政府系デベロッパーである遠洋集団(シノ・オーシャン・グループ)も、8月2日に償還期限を迎える債券20億元の資金繰りに窮し、償還を延期するよう債券保有者と協議するという。これまでは、両社ともに政府系の国営企業で、安全と考えられていた不動産デベロッパーである。こうした企業にまで、資金繰りの問題が広がっていることは、不動産業界の深刻な状況を示していると受け止められている。
さらに7月24日には、中国国内最大手デベロッパーの一つである碧桂園控股と大連万達が、同様に資金繰りの問題に直面していることが伝えられた。碧桂園は、中国内約300都市で数千件の開発プロジェクトを展開しているデベロッパー最大手の一角である。
7月10日には、中国人民銀行と国家金融監督管理総局が共同声明を発表して、民間金融機関に対して、不動産開発企業の未返済貸出について、融資延長の交渉に応じるよう促した。建設中の物件を完成させ、買い手に引き渡しが確行されるようにする狙いではあるが、そこまで資金繰りに問題があるのかとの疑念は広がっていた。
市場は「待ちくたびれ」も
24日のアジア時間の取引では、中国本土の不動産開発業者株指数は前営業日比6.4%下落し、今年最大の下げを記録、約8カ月ぶりの安値をつけた。不動産銘柄への信頼感が一段と悪化し、碧桂園の株価は同8.7%下落して約8カ月ぶりの安値に下げた。2025年と2031年に満期を迎える碧桂園のドル建てオンショア債は20セント(額面は1ドル)を下回る水準に下落した。
中国政府の政策は、これまで積極性に乏しいとの評価で、市場の期待には応えているとは言えなかった。不動産販売は低迷しており、不動産開発会社が、事業を完成させたとしても、すべての債務を返済することは難しいと見られ、投資家は悲観的にならざるを得ず、投資に積極的になれない状況が続いていた。冒頭の24日の中央政治局会議では、不動産業に関連して、適切な時期に政策を調整し、最適化することが表明されたが、果たして、どこまでの政策を打ち出すのか注目が集まる。住宅販売が持続的な回復を遂げなければ、借入の返済は困難な状況が続くだろう。