今年のGDP成長率目標、5%前後の達成には、かなり厳しい状況に。
7月17日、中国国家統計局は、6月の主要経済指標を発表した。第2四半期の国内総生産GDPは前年同期比6.3%増だった。前期比では0.8%増。第1四半期は前年同期比で2.2%増だったので数字上は大きく見えるが、2022年第2四半期は大規模ロックダウンが行われており、それを対象とした比較の数値としては、決して良好とは言えない。中国政府は今年のGDP成長率目標を5%前後と設定しているが、このペースでいけば、その達成にはかなり厳しい状況になるだろう。
6月の月次経済指標は、強弱入り混じっており、まだら模様と言える。6月の小売売上高は、前年同月比3.1%増と5月の同12.7%増から伸びが大幅に鈍化した。6月の工業生産額は、前年同月比4.4%増で、5月の同3.5%増からは上振れし、改善がみられた。1-6月の固定資産投資額は、前年同期間比3.8%増と、1―5月までの同4%増とほぼ同じペースで拡大した。
今回の統計からは、中国経済は第2四半期に停滞感が強まったと言わざるを得ない。国家統計局は、景気は回復しているものの、世界の政治・経済情勢は複雑で、中国国内の経済回復と発展の基盤はまだ確固としたものとはなっていないとの声明を発表した。筆者は、4月以降、消費が伸びていないことに注目して、中国経済のリスク要因との指摘を続けてきたが、悪いシナリオが現実になろうとしている。個人消費が伸びないうえに、不動産市場も停滞して、デフレーションを懸念する声すらも出ており、このままでは先行きに、さらに懸念が広がるのではないか。山積する経済面の課題に対して、景気回復を後押しする一段の措置、特に、消費需要を喚起する政策支援を、中国政府に求める声が高まるだろう。
中国人民銀行は6月には、利下げを実施した。しかし今月は、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を2.65%に据え置き、金融政策を緩和しなかった。ただ、現在の状態が続けば、今後、数カ月以内に金利引き下げの圧力は強まることになると予想される。