高止まりするコアCPI
米労働省が6月13日に発表した消費者物価指数CPI(5月)は、前年同月比+4.0%と、4月の同+4.9%から伸びが鈍化した。伸びが鈍化した要因は、エネルギーや食品の価格上昇圧力が緩和したことと、サービス価格が下落したためと見られる。
エネルギーと食品の価格は、このところ落ち着いており、全体の物価を押し下げる要因になっている。食料品価格を見ると、ロシアがウクライナに侵攻する直前の2022年2月の水準まで低下している。ガソリン価格は前月比5.6%下落し、ガス価格も下落。電気料金は3カ月連続で下げた。
一方で、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は、前年同月比+5.3%で4月の同+5.5%からは低下した。家賃の高騰は続いておりコアCPIの上昇圧力となっている。また、中古車やトラックも前月比4.4%上昇し、押し上げ要因となった。コアCPIは、FRBが目標とする同2.0%からは乖離が以前大きい。インフレ圧力は根強いと見るべきだろう。
6月FOMCでは利上げ見送りも
今回の消費者物価指数の発表を受けて、米FRBは、14日のFOMCでは、政策金利を据え置く公算が高い。今回、利上げに踏み切るには、インフレ圧力が強まっているなどの強力な証拠が必要だったが、そこまでの材料とは受け取れないだろう。物価圧力は緩やかながら後退しており、これまでの利上げの効果を見るために、利上げを一時停止することを選択すると考えられる。ただ、今回もコアインフレ率は上昇幅が大きく、5月の雇用統計も引き続き非常に堅調であったことを考慮すると、FRBは利上げを見送っても、金融政策に関しては、タカ派姿勢を維持すると見るべきであろう。すなわち、経済指標が、インフレ圧力の再拡大や景気の揺り戻しなどを示す上方向にブレれば、7月または9月に、FRBが再利上げするというカードは残っているということである。おそらく6月FOMC後の会見では、そうしたコメントが発せられよう。