香港・中国市場Dairy ~ 中国年間成長率35年ぶりの最低水準
ハンセン指数 20,567.54 pt (+0.68%)
中国本土株指数 6,939.62 pt (+1.20%)
レッドチップ指数 4,056.78 pt (+1.66%)
売買代金1,057億8百万HK$(前日1,105億1百万HK$)
5日に開幕する全国人民代表大会を前に、中国政府が2023年の経済成長率目標をどう設定するかについて注目が集まっている。同大会ではGDP成長率について「5 – 5.5%」前後に設定されるとの観測が根強い。一部では6%水準の可能性もあると報じられた。
22年の年間成長率は3.0%と1976年以来の最低水準を記録したほか、政府目標として掲げた「5.0%前後」を大幅に下回った。中国経済を成長軌道に戻し、信頼回復と金融システミックリスクを回避するためにも、成長軌道への回帰に向けた取り組みは重要と考えられている。
新指導部の経済チームは上海市党委書記を務めた李強氏が就く見通しで、李克強首相は2期10年の任期制限を踏襲し首相職を退く予定である。新たに発足する中国共産党新指導部には経済通と言われる人材が少なく、下馬評を覆し、経済テコ入れを実現する新指導部の実力が試される。
とはいえ、中国経済が抱える問題は根深い。不動産市況の低迷、雇用の創出、消費喚起などなどで、課題は山積みとなっている。失業率は5.5%と中国では高い水準を記録したことや、都市部での若者(16歳から24歳)の失業率が16.7%まで拡大するなど、足元の景気が回復するには時間を要するとみられる。
一方、昨年12月からゼロコロナ政策を劇的に転換したことで3月のPMIは製造業・非製造業がそろって大幅な改善がみられたことは中国経済の期待の表れでもある。3日に発表された財新のサービスPMIでも2月は55.0と購買力が回復し、雇用も堅調な伸びを記録した。市場の状況改善を受けて雇用は20年11月以来の拡大ペースだった。
中国の経済見通しは3月のPMIから示されるように国内消費が大幅に回復し、経済は脱コロナへとシフトしている。習近平氏への権力集中が強まる共産党はここ10年で最大の人事刷新を行う見通しであり、昨年から3期目の体制が発足した新たな新指導部が脱コロナを掲げ、新たなかじ取りに注目が集まるだろう。
ハンセン指数は反発
3日の香港市場は中国の政策動向を見極めたいとするスタンスも漂っており上値は重い展開も、ハンセン指数は前日比0.68%高と小高く推移した。
中国ITネット株が総じて高く、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比2.06%高だった。動画配信のビリビリ(9626)は10.3%高、動画投稿アプリの快手(1024)は5.7%高、インターネット検索の百度(9888)は5.3%高とネット株に買いが先行した。
主要株も総じて堅調な動きとなり、オンラインゲームの網易(9999)は3.5%高、Eコマースの京東集団(9618)は3.1%高、通信大手の中国移動(0941)は1.6%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.3%高だった。
一方、ビール会社の百威亚太(1876)は3.7%安、台湾系の食品大手の康師傅控股 (0322)は2.0%安、ビール大手の華潤ビール(0291)は1.6%安と下げた。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.54%高の3,328.39、CSI300は前日比0.31%高の4,130.55で引けた。ITネット株が堅調に推移し、政策の恩恵を受けやすいセクターが選好された。