米中対立を巡る過度な警戒感も後退し、香港株式市場は反発

香港・中国市場Dairy ~ 米中対立を巡る過度な警戒感も後退し、香港株式市場は反発

ハンセン指数 21,624.36 pt (+1.60%)
中国本土株指数 7,313.73 pt (+1.73%)
レッドチップ指数  3,974.15 pt (+0.66%)

売買代金1,177億6百万HK$(前日1,156億0百万HK$)

米FRB高官は「利上げ姿勢」維持を表明

先週の米雇用統計後、株価の上昇を牽引してきた米国市場では、疑心暗鬼が生じている。FRB高官からは、インフレ抑制のためには、引き続き積極的な金融引締めが必要になるとの発言が相次いでいる。政策金利の最高到達地点(ターミナルレート)についての見方や、金利がどれほどの期間、高い水準で維持されるかについては、参加者の見方は分かれており、FRB高官の発言に右往左往する反応が目立つ。

8日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は政策金利を5%を超える水準に引き上げる必要があると述べ、現行の4.5 -4.75%よりも50ベーシスポイント高い水準が、妥当であること述べた。今後はインフレを目標水準に抑制するために小刻みな政策金利引き上げを支持するとコメントしたが、タカ派姿勢は明確にした。

本レポートでも繰り返し伝えてきたとおり、市場と当局の間には、ターミナルレートのみならず、金利水準の維持を巡っても見方は乖離したままである。足元の米国10年債利回り3.60%、2年物国債利回り4.40%という水準は、年内の利下げがなければ正当化されない水準であろう。市場が織り込んでいる利上げの回数は、0.25%幅での利上げを1回のみと思われる。来週の消費者物価指数を控え、米国株式市場が約半年ぶりに高値を抜けて上昇することは難しいのではないか。

ハンセン指数は反発

米国株式市場の伸び悩みは、香港株式市場の上値も限定している。ハンセン指数は今年1月27日に約11ヶ月ぶりの高値を付けた後、伸び悩む展開が続いている。政策出動の期待が高まった中国政府にも、具体的な動きは乏しく、上値を追う支援材料はない。

9日の香港市場は朝方、小幅ながらマイナス圏に沈む場面もみられたが一巡後は、株価は上昇に転じ、2週間ぶりの大幅高となった。目立った材料は見られなかったが、中国人民銀行が前日に大規模な資金供給を実施したことなど、いよいよ景気テコ入れに本腰を入れるとの期待感が強まった。一部では、近く更なる金利引き下げを期待する声も高まった。

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は3.16%高と市場を大きくアウトパフォーム。高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は9.3%高、スマートフォンの小米集団(1810)は8.5%の大幅高となったほか、ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は6.2%高だった。

そのほかIT・テック銘柄も買い戻され、電子部品の瑞声科技(2018)は5.9%高、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は5.7%高、電子機器の比亜迪電子(0285)は5.5%高、オンラインゲームの金山軟件(3888)は4.5%高となった。

主要銘柄も堅調となり、Eコマースのアリババ(9988)は4.0%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は3.5%高。金融銘柄も物色され保険大手の中国平安保険(2318)は2.7%高、AIA(1299)は2.5%高、香港取引所(0388)は1.8%高だった。

中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.18%高の3,270.38、CSI300は同1.345高の4,130.86だった。

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