香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は連休を前に売りが先行。先通し不透明な環境が株式相場の重石に
ハンセン指数 19,593.06 pt (▲0.44%)
中国本土株指数 6,642.90 pt (▲1.09%)
レッドチップ指数3,615.25 pt (▲0.22%)
売買代金799億6百万HK$(前日1,014億百万HK$)
米国市場では日々発表される経済指標を材料に、利上げ後退期待とリセッション(景気後退)リスクが交錯しボラティリティの高い相場が続いている。22日の米株式市場は、金利上昇観測が強まり、前日の上げ幅を帳消しにした。再び景気敏感株で構成されるナスダック総合指数は約2ヶ月ぶりの安値水準に達した。
先月までの傾向としては経済指標が市場予想を下回る度に、株式市場の反応はポジティブに働いていた。もっとも今月に発表された12月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想7.3%に対して結果7.1%と予想を大きく下回ったことで、インフレがはっきりと鈍化していると読む投資家が増えたことも要因である。FRBがインフレ指標として注目する米PCEデフレーターも前回から低下する見通しであり、その傾向は徐々にみられ始めている。
もちろん12月のFOMCの声明ではインフレ抑制に向けた長期の高金利の維持も辞さない姿勢を強めており、FRBが最終的な政策金利の最高到達地点(ターミナルレート)をどこまで上昇するか、金利の低下が始まる時期がいつになるかであろう。そして来年のテーマはインフレから米国経済がいつ景気後退に突入するかにシフトしはじめ、23年に入るとFRBの利下げのタイミングが現実味を帯びていくと思われる。
また来週28日には、金融政策決定会合で予想外に早く金融緩和を一部修正した日銀の会合要旨が発表される予定で、海外勢は早くも次回1月の会合で何らかしらの動きがあるとの観測が浮上している。日銀は長期変動幅の拡大をした一方、国債買い入れ額を大幅に増額するなど金融緩和の持続を高める姿勢を示しているが、足元の日本のインフレ率は3.7%の上昇と1981年以来の高騰であり、世界各国でインフレとの奮闘が鮮明となった年になった。
来年も引き続きインフレとリセッションリスクが入り乱れる波乱なマーケット環境がしばらく続くと思われるが、悪材料が全て出尽くせば上昇局面へと突入していく展開も予想され、マーケットにプラス材料が増える年になることを期待したい。
ハンセン指数は反落
来週にクリスマスホリデーの連休を控える手前、23日の香港市場は買い手控えムードが漂った。同指数は前日に約2週間ぶりの高値まで回復していただけにハンセン指数は朝方、安く寄り付くと方向感に乏しい展開となり前日比0.44%安と小幅安で引けた。
中国本土株市場でも上海総合指数は前日比0.28%安の3,045.87と7日続落し約1カ月半ぶりの安値を付けた。今月に入りコロナを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策が事実上の解除の後、経済活動の回復期待から同指数は12月頭に高値を付けた。ただ、ここ1週間ではコロナのまん延に見舞われる都市が増えたとの報道もあり、先通し不透明な環境が相場の重荷となっている。
中国当局の金融・財政政策による景気刺激策も期待したようには出てきておらず、市場はしびれを切らし始めている。来週31日には「ゼロコロナ」政策を事実上解除してから初めて景況感を示す購買担当者指数(PMI)が発表される。11月は製造業、非製造業ともに数字ベースでは最大の経済都市である上海がロックダウンされた今年4月以来の低水準となったこともあり12月は幾分、景気の好況感に兆しがみられるが注目とされる。
香港市場ではハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比2.05%安とアンダーパフォーム。電子機器の比亜迪電子(0285)は10.4%安、オンライン医療サービスの阿里健康(0241)は5.0%安、自動車メーカーの理想汽車(2015)は4.7%安と下げた。
IT関連株も軟調となり、Eコマースの京東集団(9618)は2.1%安、大手スマートフォンの小米集団(1810)は2.0%安、アリババ(9988)は1.6%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.1%安と下げた。
来週、26日、27日はクリスマスの祝日で香港市場は休場となります。また同レポートも本年は本日が最終日となり、年始は1月4日からとさせていただきます。