中国での経済活動再開に向けた期待が高まり、香港市場は大幅上昇
ハンセン指数 19,518.29 pt (+4.51%)
中国本土株指数 6,706.29 pt (+5.30%)
レッドチップ指数 3,621.51 pt (+2.31%)
売買代金2,229億8百万HK$(前日1,427億8万HK$)
新型コロナウイルスの感染抑制対策の変更を確認
中国当局は経済活動再開に向けた政策転換を一層加速させている。首都北京では本日から地下鉄やバスなど公共機関を利用する際にPCR検査の陰性証明書が不要となったほか上海、深圳といった他の大都市でも同様の規制緩和が取られた。
各地では厳しい封鎖措置に抗議するデモが広がった後、1週間足らずで当局は厳格な戦略の修正を段階的に図ろうとしている。中国の新規感染者拡大にもピークが見られ始めていることも支えとなった。5日の新たなコロナ感染者は2週間ぶりに3万人以下となっている。今後は市民のPCR検査の義務が撤廃される中で、一層の感染者縮小につながる可能性も高い。中国政府は2年半におよぶコロナ戦略からの脱却をはかり、コロナ規制の経済的・社会的コストを最小限にする兆候が示唆される。
中国経済指標は前月割れが続く
足元の中国経済は非常に厳しい局面を迎えている。取引時間中に財新が発表した11月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)は46.7と前月(48.4)から大きく低下し今年5月以来の低水準となった。生産や新規作業が過去半年で落ち込んだほか、雇用指数は2005年以来最低となるなど経済の脆弱性を示す結果となった。
11月は中国が海外渡航規制の緩和を打ち出すなど、経済再開への明確な道筋を示しているが先通しに対しては悲観的な見方が強い。当局は経済テコ入れのための財政政策と金融政策を協調させ、より一層の刺激策を導入するなど積極的な姿勢を示している。2年半に及ぶコロナ政策から経済成長策へと明確にシフトすることを期待したい。
5日の香港市場は大幅反発しハンセン指数は終日、上げ幅を広げる展開となった。同指数は1ヶ月余りで30%強戻し19,500ポイントまで回復、約3ヶ月ぶりの水準まで回復した。大手米銀は2年はぶりに中国株の投資判断引き上げるなど、コロナ対策緩和期待で強気に転じる動きが広がった。短期的には中国株のエクスポージャー拡大で、他市場をアウトパフォームする展開を予想したい。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は大幅高となり、前日比9.27%高で引けた。オンライン医療の平安健康医療科技(1833)は37.9%高、動画配信のビリビリ(9626)は28.8%高、EV自動車の小鵬汽車(9868)は26.4%高、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は26.4%高と上げ幅が目立った。
カジノやレストランなどの経済再開銘柄も大幅反発となり、大手カジノの永利澳門(1128)は15.6%高、金沙中国(1928)は13.8%高、そのほか旅行関連や航空株なども買われた。
主要銘柄も堅調となり、大手スマートフォンの小米集団(1810)は13.6%高、保険大手の中国平安保険(2318)は13.1%高、Eコマースの京東集団(9618)は11.2%高、アリババ(9988)は9.3%高で引けた。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.76%高の3,211.81、CSI300は1.96%高の3,946.88で引けた。香港株同様に約3ヶ月ぶりの高値水準に回復したほか、人民元高の動くもプラスとなった。オフショア人民元は対米ドルベースで節目の7.0人民元を下回り、9月半ばの水準まで元高にふれた。先週の米雇用統計の堅調な結果を受けて、外国為替市場がドル高に振れる中、総じて堅調な動きとなった。