中国の新規感染者は2日連続で3万人超え…経済への悪影響に懸念拡がる。中国人民銀行は預金準備率を引き下げへ
ハンセン指数 17,573.58 pt (▲0.49%)
中国本土株指数 5,971.10 pt (▲0.35%)
レッドチップ指数 3,511.74 pt (+0.79%)
売買代金948億0百万HK$(前日861億3万HK$)
中国の新規感染者から懸念強まる
中国本土では、新型コロナウイルス感染の拡大に歯止めがかからない。中国国家衛生健康委員会が発表した24日の新規感染者(無症状者含む)は32,695人と2日連続で3万人を超え、史上最多数を更新した。
広東省での感染者が特に多く、首都北京市でも最多数を記録した。主要都市では感染対策として行動規制が強化されており、外出抑制などが求められているが、今年4月に上海で行ったような完全なロックダウンは実施されていない。
中国当局は先々週末、感染症対策を「最適化」する20項目の措置を発表。感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策から、より的を絞った「ダイナミック・ゼロコロナ」政策にシフトした。
感染の制御と日常生活維持とのバランスを取る政策に移行したが、このタイミングは微妙だった。当局はPCR検査を義務付けるなど感染対策の強化を実施しているが事実上、効果は見えてこない。感染拡大が続けば中国経済への悪影響がさらに懸念される。
預金準備率の引き下げを実施
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.4%高の3,101.69、CSI300は0.50%高の3,775.78で引けた。中国当局の経済支援スタンスが改めて意識される流れとなった。
中国人民銀行は25日、市中銀行の預金準備率を25bps引き下げると発表した。預金準備率の引き下げは今年4月以来で2回目で、適用は12月5日からとされた。預金準備率は加重平均で7.8%となる。これにより、5,000億元程度の資金が長期流動性を供給するという。
国務院は今週22日の閣議で、預金準備率の引き下げやその他の金融政策手段を活用する方針を示したことから、今回の準備率の引き下げは予想されていた。
ただ、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)は21日に据え置いており、インフレや資本流出に繋がりかねない利下げは回避している。今後、金融緩和に踏み込むかどうかに注目が集まる。
ハンセン指数は3日ぶりの反落
25日の香港市場は中国のマクロ環境の悪化が材料視され軟調な展開だった。ハンセン指数は朝方、前日比で1.5%近く下げる場面もみられたが、午後にかけて下げ幅を縮小し、同0.49%安で引けた。
引き続き、カジノやレストランといったリオープン銘柄に売りが散見された。香港でも感染者が拡大している。
24日の感染者は8,000人を超え、9月中旬以来の規模に達した。香港政府は11月30日に期限を迎える現行のソーシャルディスタンス政策について、12月14日まで延長すると表明、13人以上の大規模での集会は引き続き禁止が続く。
レストランチェーンの呷哺呷哺(0520)は5.2%安、火鍋チェーンの海底撈国際(6862)は4.6%安、九毛九国際(9922)は3.9%安、海倫司国際(9869)は3.4%安と下げた。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比2.3%安と他指数をアンダーパフォーム。構成銘柄は1銘柄を除いて全面安の様相となった。動画投稿の快手(1024)は5.5%、自動車メーカーの理想汽車(2015)は5.1%安、動画配信のビリビリ(9626)は5.0%安と下げた。
一方、連日で不動産株が買われ本土不動産株で構成されるハンセン不動産指数は4.48%高の逆行高となった。中国人民銀行は、不動産デベロッパーが発行した社債を購入する金融機関向けに低利融資を実施することが材料視された。今後数週間で実施する予定であり、民間デベロッパーの国内社債に対する金融機関の投資意欲を高め不動産部門に対する市場心理を改善させる動きと考えられる。
このところ中国当局は相次いで優良不動産デベロッパー向けの融資支援を決定している。中国6大国有商業銀行は24日までの2日間で、不動産17社に対して計1兆2,750億元の与信枠を設定すると発表した。当局の指示で、中国の国有銀行が相次ぎ不動産開発各社への金融支援に乗り出しており、支援を拡大しているとみられる。