香港・中国市場Dairy ~ 中国国内での感染者は、過去最多数に迫る。中国経済への悪影響を懸念して、株価は軟調。香港ハンセン指数は5日続落
ハンセン指数 17,424.41 pt (▲1.31%)
中国本土株指数 5,901.22 pt (▲1.68%)
レッドチップ指数 3,406.00 pt (+0.28%)
売買代金1,272億0百万HK$(前日1,102億9万HK$)
感染者は増加も「ダイナミック・ゼロコロナ」政策は堅持か
中国本土での感染者は急激に増え続け、今年4月に記録した感染者数の最多数(29,317人)に迫る勢いである。21日の新規感染者(無症状者含む)は27,899人となり、連日、増加している。首都北京では初めて1千人を超え1,438人が報告された。北京市の海淀区や朝陽区では半ロックダウン状態となり当局の努力もむなしく、感染拡大に歯止めが効かない状態になっているという。
中国衛生当局は、11月から感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策から、より的を絞った「ダイナミック・ゼロコロナ」政策にシフトしたばかりである。今年4月に上海などで実施した、広域かつ厳格なロックダウンは措置していないが、何らかの制限措置による経済への影響は、中国全体で2割近くに及んでいると報じられた。
これまで、地方の当局者は、感染者がひとりでも確認されれば、躊躇なく広域でのロックダウンや集団検査といった手段を講じて、感染を抑え込んでいた。しかし、11月以降は感染を制御と日常生活維持とのバランスを取っているため、封じ込めが効いていない。制限措置を緩和した矢先に、感染が再拡大する形となってしまった。タイミングも悪かったのかもしれないが、かえって感染拡大と経済への悪影響への懸念が再燃する形となってしまった。
22日、中国国家衛星健康委員会は、パンデミックの対策について、再度、不必要な制限措置を可能な限り取りやめるよう求め、「ダイナミック・ゼロコロナ」政策の堅持を支持すると表明した。この結果がどう転ぶのか予断を許さない状況である。
ハンセン指数は5日続落
金融市場で中国経済拡大への期待感は、11月に入って盛り上がったが、今週に入って再び萎んでいる。中国本土での新型コロナウイルス感染が拡大していることを受け、行動制限が強化され、景気が失速に向かうとの警戒感が強まった。中国疾病対策予防センターは22日、現状の感染状況について「感染拡大以降、状況は最も複雑で深刻」との見解を示すなど、中国当局すら感染状況に振り回されているようである。
新型コロナウイルスの感染状況悪化は、香港市場にネガティブな材料として働いた。22日のハンセン指数は朝方、高く寄り付いたが、上値は重く、程なくして前日比マイナス圏に沈んだ。4日続落の後だけに、昼前後には、買い戻しから値を持ち直す場面もみられたが、午後には再び下げ足を強め、前日比1.31%安で引けた。同指数は1週間超ぶりの安値で取引を終えた。
リオープン銘柄が連日の売りとなり、レストランチェーンの海倫司国際(9869)は9.5%安、呷哺呷哺(0520)は5.6%安、火鍋チェーンの海底撈國際(6862)は5.2%安だった。
主要銘柄も売りが先行し、フードデリバリーの美団(3690)は8.3%安、Eコマースの京東集団(9618)は4.4%安、アリババ(9988)は4.0%安、香港取引所(0388)は2.5%安と指数を押し下げた。不動産市場は一段と冷え込むとの警戒が強まり、不動産株も大幅安だった。
一方、ゼネコンやインフラ関連株が堅調。プラント建設の中国アルミ国際工程(2068)は25.5%高、中国冶金科工(1618)は13.0%高、中国交通建設(1800)は8.4%高の逆行高となった。中国人民銀行はインフラ投資支援のため、融資を拡大するよう国内銀行に要請したことが材料視された。中国のテコ入れ政策に対する期待はなお高い。
中国本土株市場は、上海総合指数が前日比0.13%高の3,088.94、CSI300が同0.01%高の3,769.57と5日ぶりに反発した。本土での感染拡大の影響が、香港市場にしわ寄せされている形で、違和感はある。前述したインフラ投資拡大の期待からゼネコンなど建設関連銘柄に買いが集中し、株価を下支えした。