香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は4日ぶりに反落。中国不動産市況統計と地政学リスク増大に警戒感拡がる
ハンセン指数 18,256.48 pt (▲0.47%)
中国本土株指数 6,225.71 pt (▲0.70%)
レッドチップ指数 3,489.49 pt (▲0.61%)
売買代金1,733億0百万HK$(前日2,050億9万HK$)
中国の経済成長の期待高まる
18日に北京で開催された財新サミットで、中国人民銀行の劉世錦・金融政策委員は、2023年の中国経済の成長見通しについて「前年比で5%以上に設定すべきだ」と述べた。同氏は、来年前半には新型コロナウイルスの悪影響を払拭することが可能であるとの強気の見方を示し、経済安定化のための政策をしっかりと実施できれば、中国経済は上向くことを言及した。また足元2022年の経済成長率が低下しすぎて、低成長期が長引くと、生産性や人民元相場に悪影響を及ぼすとして、早急に妥当な水準に引き上げる必要を訴えた。
2022年の中国のGDP成長率は3.0~3.3%に軟化する見通しで、今年の政府目標である5.5%前後を大きく下回る。ゼロコロナ政策が経済に与える悪影響を懸念して、ようやく舵取りを修正し、不動産市場の支援に重い腰を上げたが、今年の成長率を底上げするには遅きに失した感はある。今年は政府目標の水準まで成長率を嵩上げすることは難しいが、2023年に成長軌道に回帰するためには「強力な後押し」が求められるだろう。IMFが発表した2023年の中国の成長率は4.4%前後にすぎない。
香港市場は3日続落
先週から、中国本土での新型コロナウイルスの感染再拡大が伝えられており、懸念が拡がっている。感染者数は過去最高水準を連日更新し、17日の新規感染者数(無症状者含む)は2万人超を超えた。特に香港に隣接する広東省では10,448人と半数を占め、その大半が広州市で報告されている。ただ、広州市当局は、行動規制を感染が集中する海珠区をはじめ一部の地区に限定しており、懸念されたような大規模な行動規制はとられてない。
18日の香港市場は朝方、政策期待から高寄りし、ハンセン指数は1.8%高まで上昇する場面もあった。ただ、感染拡大が続く中国本土の感染者数が懸念材料となり、同指数はサポートラインとなる18,000ポイントを割れて引けた。
不動産株中心に下げ幅を拡大し、不動産大手の碧桂園(2007)は6.5%安、香港の大手コングロマリットの新世界発展(0017)は5.3%安、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は4.6%安、中国海外発展(0688)は4.0%安だった。
一方、Eコマース大手アリババの決算を受けてIT株は総じて堅調な動きとなった。7-9月期決算は純利益が予想外に赤字に転落したもの、特別項目を除いた1株あたりの利益(EPS)は市場予想を上回った。自社株買いは追加で150億ドルの引き上げ、25年末まで延長することが好感された。アリババ(9988)は2.2%高で引けた。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比0.57%高とアウトパフォームした。フードデリバリーの美団(3690)は4.8%高、オンライン医療の阿里健康 (0241) は4.4%高、オンラインゲームの網易(9999)は3.7%高、京東集団(9618)は3.6%高だった。
底入れ確認は近い?
本土株市場は上海総合指数は前日比0.58%安の3,097.24、CSI300は同0.45%安の3,801.57と3日続落で引けた。ただ、総じてダウンサイドへの耐性はついてきている印象である。
中国株に対しては、弱気一辺倒から、強気の見方も散見されるようになってきた。米大手銀の中にも、ゼロコロナ政策の緩和と世界情勢の緊張緩和を理由に中国株式市場の見通しを強気に変更し、2023年には他市場をアウトパフォームすると見る向きも出てきた。香港株についても同様に見通しを引き上げたところもある。中国株が来年、回復に向かうと「強く見込む」とする意見も目につくようになった。ただ、楽観は禁物で、中国新指導部が、経済成長路線維持という課題に、具体的にどういった取り組みをしてくるのか注目される。
テクニカルには、CSI300指数で、7月高値4,496から11月安値3,508までの下落のリバウンドの38.2%戻しである3,885をほぼ達成、50%半値戻しである4,002が視野に入っている。これを上回ってくるだけの材料が揃うかどうか注目したい。