香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は続落。グローバルには各市場の動きはまちまちで安定感を欠く動きが続く
ハンセン指数 18,045.66 pt (▲1.15%)
中国本土株指数 6,140.57 pt (▲1.37%)
レッドチップ指数 3,475.83 pt (▲0.39%)
売買代金1,525億6百万HK$(前日1,733億0万HK$)
米国の消費意欲は堅調
米商務省が16日に発表した10月の米小売売上高は前年比で8.3%増、前月比では1.3%増加と事前予想を上回った。米FRBが幅を伴った利上げを実施しても、消費が伸びていることが確認された形で、雇用統計に続いて経済統計からは、米国経済が堅調であると言える。
こうした米国経済の現状はインフレ抑制のためにFRBが利上げを実施する余地を作り出す。大手米銀の中には、インフレが当面、高い状態に留まることを理由に、政策金利のピーク水準を従来予想から引き上げ「5.0% – 5.25%」とするところも出てきている。
しかし、16日、米国債利回りは総じて下落し、債券買いが顕著に目立った。米10年国債利回りは一時3.68%まで下落し、約1ヶ月半ぶりの低水準を付けた。市場参加者は、利上げピークアウトと政策金利の引き上げによる緩やかなリセッション入りに目が向いている。
企業業績の先行きも曇り始め、これもリセッションシナリオを煽る形になっている。ディスカウント大手ターゲットのさえない業績見通しは、ホリデーシーズン商戦での小売業界の苦戦を懸念し始めた。アマゾンの大量解雇の報道など、金融引き締めによる雇用喪失を連想させる材料も楽観的な経済見通しを後退させた。
香港市場は2日続落
17日のハンセン指数は朝方、安く寄り付いた後、徐々に下げ幅を広げ一時18,000ポイント割れと前日比3%近くまで下げた。
前日にインターネットサービスのテンセント(0700)が決算を発表、配当としてフードデリバリーの美団(3690)の保有株203億ドル相当を、配当として株主に還元すると発表したことで、大手IT株の地合い悪化を招いた。
同社は中国インターネット業界関連の膨大な資産の圧縮計画を進めており、Eコマースの京東集団(9618)の持ち株削減も既に発表しており、中国の景気悪化が民間企業にも打撃を及ぼしていることが示唆された。テンセントの7-9月売上高は前年比2%減の1,401億元、純利益は1%増の399億元だった。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は主要IT株を中心に下げ幅を広げ、一時は5.4%安と過去2週間で最大の下げとなった。ただ、取引時間中には米株先物指数が上昇したことから午後からは、下げ幅を縮め、前日比2.2%安水準で引けた。ハンセン指数は18,000ポイントを回復し、前日比1.15%安で終えた。
オンラインゲームの網易(9999)は9.0%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は8.6%安、フードデリバリーの美団(3690)は5.7%安と下げた。網易は17日、米ゲーム開発のブリザード・エンターテイメントとライセンス契約を終了し、複数のゲームについて、来年1月23日から中国でのサービスを一時停止すると発表したことが材料視された。
一方、主要銘柄は中盤から下げ幅を縮小し、京東集団(9618)は1.1%安、テンセント(0700)は0.8%安、Eコマースのアリババ(9988)は0.7%安、香港取引所(0388)は0.5%安で引けた。
中国本土株市場では、上海総合指数が前日比0.15%安の3,115.43、CSI300が同0.41%安の3,818.66で引けた。連日報道される中国での新型コロナウイルス感染再拡大が嫌気された。ただ、中国の景気テコ入れに伴う楽観的な観測も高まっており、下値は限定的と見ている。
一方で、中国債券市場は、経済動向の変化に敏感に反応している。追加経済対策は、株式などへの資金流入を促す。そのため、ここ数日で、債券相場は急落しており、短期債は2020年半ば以来で最大の下落を記録した。10年中国債利回りも昨年12月以来の高い水準に達した。中国人民銀行は市中銀行に対し、短期の払い戻しに応じる流動性を確認する報告を求めているとも伝えられた。市場の大きな変化の中、混乱の火種はくすぶっている。