香港・中国市場Dairy ~中国当局は新型コロナ感染対策を一部緩和へ、香港市場は全面高
ハンセン指数 17,325.66 pt (+7.74%)
中国本土株指数 5,867.31 pt (+8.31%)
レッドチップ指数 3,317.82 pt (+5.68%)
売買代金1,825億9百万HK$(前日921億1万HK$)
米消費者物価指数が発表
市場が注目していた米消費者物価指数CPI(10月)が発表され、前年比ベースで7.7%上昇と事前予想の7.9%を下回り、8か月ぶりに前年比8%割れとなった。前月比ベースでは0.4%上昇、エネルギー価格が反転上昇したことが影響したものの、事前予想を下回る内容となった。
価格変動の大きい食品やエネルギーを除いたコアCPIでは前年比6.3%上昇となり、事前予想以上にインフレ率の上昇ペースが鈍化がしていると受け止められた。
株式市場は米FRBの利上げ幅縮小シナリオに飛びつく内容となったが、CPIの伸び率の水準としては依然高いと言わざるを得ず、10日の金融市場の楽観的とも言える反応を正当化できるかは疑わしいと考えている。また2021年後半からインフレ率が急進したことで、前年比ベースでは上昇率が薄まったこともある。実際、前年比ベースでは今年1月以来の低水準である。
内訳ではエネルギーを除いて前月からの上昇幅は縮小傾向もあるため、インフレがピークアウトしたと確認できるかどうか慎重に見極めることが重要と考えられる。
中国当局は新型コロナ感染対策を一部緩和へ
11日、中国保健当局は防疫措置を一部緩和すると発表した。中国本土への入境者に義務付ける隔離期間を2日間短縮し、従来の10日間から8日間(集中隔離 5日+3日 自宅隔離)とした。濃厚接触者の隔離も同様に短縮した。また新型コロナウイルスを国内に持ち込んだとする航空会社を処分する「サーキットブレーカー」の停止をすることを発表。「ゼロコロナ」政策から大きく舵をきる修正となる。
中国共産党の最高指導部である中央政治局常務委員会は10日、習近平国家主席をはじめ先月の党大会で選出されたメンバーによる初会合を開き、新型コロナウイルスの防疫措置を検討した。会議では「ダイナミックゼロ」政策への堅持しつつ、経済社会の発展に及ぼす影響をできる限り減らすと決めた。また今後、中国の最高指導部は、より的を絞った新型コロナウイルス対策を講じるよう求め、地方当局が防疫措置を講じる場合には、工場の生産停止、交通機関の運行停止などを含めた制限措置を認めないことを表明した。これは、新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策からの脱却に向けた第一歩と捉えられる。今後は、厳格な行動制限を強いるゼロコロナ政策とは一線を画すものとして「ダイナミック・ゼロコロナ政策」が運用されていくということらしい。
ただ、足元では中国の新規感染者は急拡大しており、昨日時点の新規陽性者(無症状者含む)は今年4月以来となる計10,000人を突破したことは気がかりな材料であることに変わりはない。
11日の香港市場は、米国株式市場の上昇に加えて、中国政府のダイナミック・ゼロコロナ政策への方向転換を受けて、大幅に上昇した。ハンセン指数は73構成銘柄が全面高となり、前日比7.74%高、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数も同様に30構成銘柄が全面高で、前日比では10.1%高と急騰した。これまで割安放置されていた感の強い香港株式市場だが、本日は活況を取り戻した一日となった。
自動車関連株やITテック銘柄が買い戻され、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は37.3%高、ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は28.7%高、動画配信のビリビリ(9626)は21.1%高、新興EVメーカーのNIO(9866)は20.4%高だった。
本土不動産株も急反発、不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は12.8%高となった。不動産開発大手の旭輝控股(0884)は72.2%高、碧桂園(2007)は34.9%高、龍湖集団(0960)は29.1%高と大幅高となった。
主要銘柄も大幅高となり、Eコマースの京東集団(9618)は16.1%高、フードデリバリーの美団(3690)は12.4%高、アリババ(9988)は12.4%高、香港取引所(0388)は11.3%高だった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.69%高の3,087.29、CSI300は同2.79%高の3,788.44と4日ぶりに反発した。政策転換の期待が市場を押し上げたほか、来週14日にはG20での米中首脳会談が行われることが決定したため、米中両国関係の対立が和らぐとの期待も投資家心理を支えた。