香港・中国市場Dairy ~米国・消費者物価指数の発表を今夜に控え、アジア市場は軟調な展開
ハンセン指数 16,081.04 pt (▲1.70%)
中国本土株指数 5,417.13 pt (▲2.13%)
レッドチップ指数 3,139.36 pt (▲1.33%)
売買代金921億1百万HK$(前日1,113億0万HK$)
相次ぐネガティブ材料が重荷
10日のアジア株は、相次ぐネガティブ材料で下げた、前日の米国株に続いて、全面安の様相となった。米主要3指数そろって4営業ぶりに下落し大幅安となった。
暗号通貨では時価総額がトップであるビットコインBTCが連日下げた。BTCは、2年ぶりに16,000ドルを割り込み大幅安となった。下落幅は2日間で23%余りに達する。銘柄も幅広く、売りに波及した。
今回の急落が市場全体にどれくらい影響を与えるかは不明だが、仮想通貨取引所の業界2位を占めるFTXが破産の危機に陥っている打撃は他の資産クラスにも広がる可能性があり、警戒が高まっている。
また、開票作業が終盤に入っている米国中間選挙では与党である民主党が事前の予想より善戦しており、南部ジョージア州の上院選では、決戦投票が行われることになった。
バイデン政権率いる民主党は、上院で多数派を維持する可能性がまだ残っているもの、下院では野党共和党が多数派を奪取する勢いで勝利している。議会の勢力図にねじれが生じれば、今後の政権運営が滞るリスクも高まると考えられる。目前には、財政出動に伴う債務上限の引き上げが必須であり、すんなりとはいかないだろう。
今夜には、米消費者物価指数(10月) を控える。米国のインフレ率が急低下することは予想しにくい。米FRBが金融引き締めに対するタカ派姿勢を変えるには、インフレ率が落ち着くことが必須である。
香港市場は3日続落
10日の香港市場は上述したグローバルな株安の動きに影響されたほか、中国本土の新規感染者が増え続けていることを嫌気して下げた。
行動制限が実施されれば、中国経済の下押しリスクは高まる。香港に隣接する広東省広州市では感染が急増しており、中国本土全体の感染者の約3分の1が同市で報告されている。同市の3地区では、行動規制が敷かれており、人口の3分の1に当たる約420万人が行動制限の管理下に置かれていると報じられている。
行動制限実施の動きは燻っており、そのリスクを見切ることができない市場には、じれったさも感じられる。
ハンセン指数は一時は16,000ポイントを割れるなど終始マイナス圏でもみ合い、3日続落となった。中国企業の監査状況の検査を巡り、米上場企業会計監視委員会(PCAOB)が継続して検査を実施していくとコメントしたことも市況悪化への懸念を煽った。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は3日続落、前日比3.28%安で引けた。自動車関連株が連日の大幅安となり、新興メーカーのNIO(9866)は13.2%、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は9.5%安、理想汽車(2015)は6.9%安、吉利汽車(0175)は5.6%安と下げた。
主力銘柄も下落に転じ、Eコマース大手のアリババ(9988)は4.5%安、オンラインゲームの網易(9999)は4.4%安、京東集団(9618)は3.7%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は2.3%だった。
本土株市場は上海総合指数は前日比0.39%安の3,036.13、CSI300は0.77%安の3,685.69と3日続落で引けた。前日発表された経済指標の鈍化から、懸念が先行したほか、コロナ防疫対策の強化による景気減速への警戒感が強まっている。