香港・中国市場Dairy ~ 中国での新規感染者急増と低調な経済指標を受けて株価は反落。中国・生産者物価は2年ぶりに前年割れ
ハンセン指数 16,358.52 pt (▲1.20%)
中国本土株指数 5,534.76 pt (▲1.21%)
レッドチップ指数 3,181.80 pt (+0.63%)
売買代金1,113億0百万HK$(前日1,047億3万HK$)
中国での新規感染者急増、各地で都市規制
中国では新規感染者が半年ぶりの高水準に達し、連日直近最多数を切り上げている。首都北京市では、8日、新規感染者が78人と報告され、今年5月22日以来の最多に並んだ。感染者の大半が確認された市中心部の朝陽区は、行動制限が発動された。
感染数の多い広東省の広州市でも、海珠区に続いて荔湾区が行動制限が始まるなど、各地で感染が急拡大している。大規模な行動制限には至っていないもの、中国経済の下押しリスクとして認識され、先行き見通しの不透明な環境が相場の重荷となっている。
中国物価統計は需要の後退を示唆する厳しい内容
9日、取引時間中に発表された中国物価統計(10月)では、10月の消費者物価指数が前年比2.1%上昇にとどまり、9月の同2.8%上昇からも軟化した。事前予想を大きく下回った上に、前年比ベースでは今年5月以来の水準まで低下しており、デフレリスクが意識される統計となった。
また生産者物価指数は前年比ベースで1.3%下落となり2020年12月以来、約2年ぶりにマイナスに転じた。前年比は、資源価格が跳ね上がった反動分の影響を加味するべきではあるが、12ヶ月連続で下げており、需要の後退を示唆する厳しい内容と解釈される。
散発的な新型コロナウイルスの感染拡大によって長期化する行動規制に加え、贅沢抑止、浪費防止などのスローガンは、個人消費や内需が低迷する要因となっている。
先日発表された中国貿易統計でも輸出、輸入がともに前年同月比で減少するなど経済指標は需要の弱さを示唆している。10月の中国のコアCPIは0.6%上昇と前月から変わらないが、世界の主要国では、デフレ脱却に苦しむ日本よりも低い水準である。
香港市場は2日続落
8日の香港市場は昨日に続いて下落に転じ、ハンセン指数は前日比1.20%安と2日続落。前日の米株高や中間選挙の開票が進み共和党が優勢の中、米株指数先物が戻す場面もみられたが、中国の政策方向の見通しに対する不安が重く圧し掛かった。ハンセン指数は一時、前日比2%強まで売られる場面もみられた。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は連日、指数をアンダーパフォームし前日比1.89%安、午後には一時3%安まで売られた。自動車・電子部品が軟調となり、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は6.9%安、吉利汽車(0175)は6.0%安、新興メーカーのNIO(9866)は4.9%安、動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は4.6%安と下げが目立った。
ITテック銘柄も売りが先行し、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は6.6%安、動画配信のビリビリ(9626)は5.3%安、インターネット検索の百度(9888)は4.1%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は3.7%安だった。
一方、不動産株は大幅反発した。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は4.29%の逆行高となった。中国人民銀行の管轄下にある中国銀行間市場交易商協会が2018年から設立した資金調達プログラムを拡大し、不動産開発会社など民間企業に対し約2,500億元を支援することを発表した。
この活用策は、不動産市場に対する充当分がはっきりしておらず、金額で言えば実質的な影響は限られると考えられるが、短期的には債務返済負担が軽減されることが期待される。不動産開発大手の旭輝控股(0884)は28.6%高、旭輝控股集団(0884)は19.0%高、碧桂園(2007)は13.9%高となった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.53%安の3,048.17、CSI300は同0.94%安の3,714.27と軟調なまま続落した。取引開始直後は低調な経済指標を受けてマイナス圏に沈むも、下値をたたき売られるような展開にもならなかった。当局の景気テコ入れ策への期待は根強いようである。