香港・中国市場Dairy ~ 「ゼロコロナ」政策の出口戦略をいよいよ検討か、香港市場は大幅高
ハンセン指数 15,455.27 pt (+5.23%)
中国本土株指数 5,209.60 pt (+5.49%)
レッドチップ指数 2,943.54 pt (+3.98%)
売買代金1,538億1百万HK$(前日1,309億9万HK$)
明日から二日間、開催される11月の米FOMCを控え、市場は政策転換の希望が高まっている。ここ数週間で、いくつかの弱い経済指標が後押し、FRBによる行き過ぎた利上げで、景気が腰折れするリスクを警戒する声も上がっている。マーケットは既に利上げペースを減速させるとの見方が強く、10月月間の米国市場はダウ工業株30種が13.95%高と、1976年1月以来の大幅高を記録した。
市場の大筋は米FRBと英イングランド銀行がそろって75bpsの大幅利上げを決めるとの公算は高いもの、積極的な金融引き締めの緩和が示唆されるかどうかに注目が集まる。次回12月のFOMCの会合では50bpsが市場のコンセンサスも、25bpsを期待する声も高まっている。3日のFOMCの結果と4日の米雇用統計を受けて利上げを巡る市場の期待が継続するか期待したい。
香港市場は3日ぶりに大幅高
1日、香港に上場する中国本土株は軒並み大幅高となった。情報の真偽は不明だが、一部報道によると、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策の出口方法を巡る複数のシナリオを評価する委員会が立ち上げられたとの未確認情報がソーシャルメディアのに投稿された。
これを受けて香港市場は午後に上げ幅を拡大し、ハンセン指数は一時6%を超え前日比5.23%高、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は7.80%高と構成銘柄は全面高となった。中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)は5.49%高、前日には終値ベースで2005年11月以来の安値を更新していただけに、値ごろ感から買いが入った可能性も高い。
個別ではソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は16.3%高、動画配信の快手(1024)は15.0%高、オンラインチケットのTrip.com(9961)は12.0%高、フードデリバリーの美団(3690)は11.9%高、動画配信サービスのビリビリ(9626)は11.5%高と大幅高となった。
主要銘柄も全面高となり、インターネットサービスのテンセント(0700)は10.6%高、Eコマースの京東集団(9618)は8.4%高、香港取引所(0388)は8.3%高、オンラインゲームの網易(9999)は7.8%高、アリババ(9988)は7.6%高だった。
中国本土株市場は上海総合指数が前日比2.62%高の2,969.20、CSI300は同3.58%高の3,634.17とそろって4日ぶりの反発となった。人民元安の進行が一服したほか、上記報道の期待感から午後に上げ幅を拡大した格好となった。
今回のマーケットの反応は中国が世界第二位の経済大国だけに、経済再開に対する期待がいかに高いかを表す形となったが情報の真偽は不明である。以前もこうした観測から株価が大きく上げる場面もみられたが、結局は中国がゼロコロナを続けて期待外れに終わった経緯も過去にあり、今後更なる規制緩和に移行するかが注目となる。
昨日発表された中国PMIから示唆されるように、足元の中国経済は非常に厳しい局面を迎えている。それは新しく発足した指導部が経済成長より新型コロナウイルスの感染抑制を優先すると受け止められているからである。1日発表された10月の財新製造業PMIについても市場予想(49.0)はかろうじて上回るも、49.2と3ヶ月連続で景況改善・悪化の分岐点となる50を下回っている。
国際金融の窓口である香港においても、31日に発表された第三四半期のGDPは前年比4.5%減と、3四半期連続で約2年ぶりの大幅マイナス成長となった。中国では足元、多くの地域でコロナ感染が拡大したことで、更なる規制を強化するなど、景気回復を妨げる環境が双方でみられ、上記の報道が出口戦略につながるか期待したい。