香港・中国市場Dairy ~ 米中デカップリング際立つ、中国・香港市場は連日安値を更新
ハンセン指数 14,687.02 pt (▲1.18%)
中国本土株指数 4,938.56 pt (▲1.80%)
レッドチップ指数 2,830.97 pt (▲4.31%)
売買代金1,309億9百万HK$(前日1,246億2万HK$)
週明けの中国・香港市場は、先週末に米株が続伸したこととは対照的に、上値が重い展開だった。ハンセン指数は午前中にプラス圏に転じる場面もあったが、中国各都市で新型コロナウイルス抑制のために行動制限が実施されるとの報道が相場の重石となった。ハンセン指数は二日続落で引け、終値ベースでは約13年半ぶりの安値を更新した。中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)は2005年11月以来の安値を更新し、米中株価のデカップリングが目立った。
中国新指導部の経済政策に対する不安が懸念されるほか、散発的な新型コロナウイルスの新規感染が拡大しており不安を払しょくできない。中国本土で30日に確認された新規感染者数(無症状者含む)は2,699人と3週間ぶりに2,000人を超えた。共産党大会後、地方各地では当局が施設閉鎖や行動制限延長などを相次いで実施しており、経済的な悪影響が懸念される。31日には、上海ディズニーランドの閉鎖が報じられると、規制強化への不安は増幅した。
新体制で習氏「1強」が確立された結果、「ゼロコロナ」政策をはじめ施策判断の問題点が軌道修正されず、経済の失速や外交面での軋轢が深まるリスクが意識された。
経済指標からも、中国経済の軟調ぶりが示唆される。中国国家統計局が31日発表した10月の製造業PMIは49.2と市場予想(50.0)を下回ったほか、サービス業を示す非製造業PMIについては48.7と5カ月ぶりに景況改善・悪化の分岐点となる50を下回った。製造業、非製造業ともに50割れとなったのは最大の経済都市である上海市でロックダウンが実施された今年4月以来となる。新指導部は、経済成長より新型コロナウイルスの感染抑制を優先すると受け止められている。明日、発表予定の中小企業や沿岸地域の企業を対象とした10月の財新製造業PMIでも、3カ月連続の50割れと見込まれている。
31日の香港市場は不動産株で構成するハンセン本土不動産指数は6.50%安と市場を大きくアンダーパフォームした。上海に拠点を置く中国不動産開発大手の龍湖集団(0960)が一時44.7%安と、上場後で最大の下落率を記録したことが相場の重石となった。香港取引所の届け出によると、創業者で同社会長を務める呉亜軍氏が28日付で辞任すると発表した。年齢や健康上の問題を理由に挙げているが、不動産危機の最中に突然の辞任は不可解な印象を与えるものとなった。同社は31日前引け後、株価急落を受けて業務運営、財務状況ともに健全である旨を発表したが、前日比23.8%安で引けた。一連の報道は同セクターに売りが波及し、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は9.8%安、碧桂園服務(6098)は7.0%安、恒基兆業地 (0012)は4.9%安だった。
中国の経済の先行き不透明からエネルギー関連株も急落。中国民間ガス供給業者の新奧能源(2688)は10.1%安、石油販売のペトロチャイナ(0857)は8.3%安、石炭最大手の中国神華能源(1088)は5.7%安、中国海洋石油(0883)は4.2%安となった。
一方、四半期決算を受けて自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)が前日比6.0%の大幅高。関連銘柄が買われ、スマホ部品の比亜迪電子(0285)は13.4%高、スマホ部品メーカーの瑞声科技(2018)は12.3%高、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は8.6%高と目立った。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.77%安の2,893.48、CSI300は同0.92%安の3,508.70と共に3日続落した。上海総合指数は終値ベースで、上海市をはじめ大都市でロックダウンの措置が取られていた4月26日以来の安値を更新。米欧株価指数は、米利上げ観測の後退により反発に転じ、市場のリスク選好度にも変化がみられるが、中国・香港市場はデカップリングを続けており、株価に反発の兆しは見えていない。