ECB(欧州中央銀行)政策理事会で大幅利上げ
欧州中央銀行(ECB)は10月27日、定例の政策理事会を開催し、政策金利を0.75%幅で引き上げることを決定した。ECBは7月・9月の理事会と三会合連続で利上げを実施したが、前回9月8日の理事会でも0.75%の利上げを実施しており、2会合連続での大幅利上げに踏み切った。欧州中銀の預金金利はこれで1.5%に引き上げられた。
欧州経済は、記録的なインフレ(物価上昇)に見舞われている。ECBは声明で、インフレ率が引き続き非常に高く、長期にわたって目標を上回り続けるとの危機意識を露わにした。政策委員会は「インフレ率がタイムリーに2%に回帰するよう、追加の利上げを想定している」とも表明した。
一方で、ユーロ圏経済は需要後退から成長率が低下しており、厳しい状況にある。加えてエネルギー危機により生産コストは上昇し、家計の負担は増大、消費にも足かせとなっている。ユーロ圏経済の足取りは重いことから、成長スピードの軟化により物価上昇圧力は緩和されるはずで、0.50%幅を大きく超える利上げは必要がないとの主張もあった。そうした中でも金融政策を引き締めることを最優先にすべきとの『タカ派』が押し切った形で、ECBはインフレを抑制する決意をあらためて示したことになる。
なお、量的緩和のために実施した資産買い入れプログラム(APP)で購入した債券33億ドルの償還資金の再投資は継続すると表明した。
金融市場が織り込むECB預金金利は、15bps低下し、来年に2.75%近辺で最大に達するとの予想となった。為替市場では、量的緩和についての言及がなく扱いが不透明だったことから、利上げ発表後はユーロ売りで反応した。ユーロ・ドルは0.996ドルまで下落した。ただ、その後はパリティを回復して取引されている。