ニューヨーク時間の取引で、1ドル=148円80銭台に。
14日の為替市場では、ドル円が1ドル=147円75銭まで上昇し、32年ぶりに高値を更新した(円の安値を更新した、ともいうべき)。米消費者物価指数でインフレの状況に変化がないことが確認され、米FRBの金融引締めスタンスは当面維持されるとの見方は、ドル円でのドルの上昇を支持した。続くニューヨーク市場では、さらにドル高・円安の勢いに弾みがつき、148円80銭台までドル高が進行した。
先週12日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨でも明らかにされた通り、米FRB高官のインフレ抑制へのコミットメントは強い。彼らはむしろ、金融引き締めが足りず、インフレ高進が制御不能になった場合の方が、金融引き締めをし過ぎた場合よりも経済的なダメージが大きいと考えている。
そのため、短期金利の最高到達点(ターミナルレート)がいったいどこまで届くのか予測がつかない。9月FOMCのドット・プロットでは、2022年末時点で政策金利は4.25-4.50%との見通しが示された。また、短期金利の最高水準は2023年に4.75~5.00%と示された。この水準は、3月・6月に示されたドットプロットから二度も上方修正されたことになる。それぞれ1.00%幅、高い水準にシフトしたのである。9月のドットプロットで、政策金利のピークは4.75%程度と示されていたが、インフレの動向によっては、あっさり5%を超えていくとの警戒も金融市場では高まりつつある。
FRBのタカ派姿勢は不変
景気後退観測から、実際には、それほど金利が引き上げられる可能性は小さくなるとの楽観的な見方もないわけではない。物価高、賃金高、エネルギー高、素材高、そして金利高とコストは上昇し続けており、通常なら需要は減少する。そうなると肝心のインフレ率も低下しているはずで、結局、金利はそこまでは上がらないというシナリオである。しかし、この観測は、一向に抑制が効かないインフレ動向とインフレ抑制にコミットを強めるFRB高官の姿勢で、うち破られた。
そうなると、米ドルと日本円の金利差も、どこまで拡大するのかわからないということになり、ドル買いのエネルギーは途切れないということになる。
経済指標からも、米国経済は減速に向かっているわけではない。もちろん、金利上昇とインフレ進行で生産コストは上昇しており、早晩、経済成長率の鈍化とインフレの収束という場面がやってくるのだろうが、それがいつかはまだわからないのである。すなわち、雇用統計もインフレ統計も、消費動向すら、米国経済は好調であることを示し、FRBのスタンスを支持するものに映る。インフレ抑制を果たすまでは、積極的な利上げにを実施し、金融引締めを続けると見込むしかない。相対的にみて米ドル金利が高い限り、ドルが円に対して、下落トレンドに入ることは難しいだろう。
ドル高トレンドのクライマックスは、まだ先のようである。今年年末までに、1ドル=150円はほぼ達成してしまった。今後も、ドル高は続き、150円を超える展開も有り得ると考える。テクニカル分析も加味すれば、中期的には165~170円に到達しても不思議ではない。