コアCPI 前年同月比6.6%上昇
13日、市場が今月、最も注目をしていた経済指標である米消費者物価指数CPI(9月)が発表された。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが前年同月比で6.6%上昇と、1982年以来の大きな伸びを示した。前月の同6.3%上昇から伸びが加速。前月比では0.6%上昇と、前月と肩を並べた。総合CPIでは前月比で0.4%上昇、前年同月比では8.2%上昇といずれも事前予想を上回る上昇を示した。
9月CPIは特に住居費と食品、医療の分野で伸びが目立った。市場価格では低下していたガソリンと中古車も上昇し、広範な「多くの要因」で上昇がみられた。インフレ圧力はしつこく、米FRBは高いインフレ率が定着してしまうことを回避するため、積極的な利上げを11月12月のFOMCでも実施すると推測される。金融市場は、次回11月FOMCでの0.75%幅での利上げと12月FOMCでも0.50%幅の利上げを完全に織り込んだ。
市場では織り込み済み?
13日のニューヨーク市場では、米国株式は予想を超える伸びとなったことCPI発表後に大きく下落したが、引けにかけては買い戻しの動きが優勢となった。S&P500指数は、日中安値から200ポイント近く上昇して、前日比2.60%高い3669.91ドルで引けた。参加者は既にCPIが改善しないことを織り込んでいたこともあり、Sell Rumer, Buy Factとなった。米国債券市場では、債券利回りが上昇(債券価格は下落)し10年米国債利回りは4.08%を付けた。ただ、株価の反転とともに同利回りは低下し、3.948%で取引を終えた。2年米国債利回りは、4.465%と高水準に達した。
これで、FRBが重要視する物価と雇用の最新データは示された。7日に発表された米国の雇用統計(9月)は、雇用市場が堅調に成長を続けていることを示唆していた。
米FRBは今年3月以降、断続的に利上げを実施し、既に3.00%の利上げを実施していることから、金利上昇が雇用やインフレにブレーキとして働き、減速の兆候が現れるとの予想は外れた。雇用市場は底堅いことは本来であれば良いニュースなのだが、賃金の上昇圧力を高めることでインフレの一因になることや、経済全体にコスト上昇の要因となる。またインフレ率の上昇にも歯止めがかかっているとは言えない現状は、不都合な真実である。
FRBスタンスは不変
これまでの米FRB高官の発言などを考慮すれば、11月12月のFOMCでも、幅を伴った利上げを実施すると予想することは不変である。金融市場の大勢も、11月FOMC会合で4会合連続となる0.75%幅の利上げが実施され、12月FOMCでも0.50%または0.75%幅での利上げが実施されると予想している。
ただ、金利をどこまで引き上げれば物価が落ち着くかは、誰にもわからないところがある。金利上昇や物価の上昇は、自然に需要を抑制して、インフレ率を落ち着く方向に向かわせることも事実である。実際に今年6月のエネルギー価格の上昇時には、消費への抑制効果がみられた。ただ、この効果にはタイムラグがあり、発揮されるまでの時間を予測することも難しい。消費者信頼感指数は既に低迷しているため、消費は緩やかに低下してきているが、価格上昇の方はスピードが速いということである。
むしろそうした効果と利上げによる経済へのブレーキ効果が相まって効き始めたときに、経済へのダメージは大きくなるため、性急に利上げを急ぐタカ派を戒める意見もある。実際に、長期の期待インフレ率は、比較的安定したままで上昇していない。ただ、こうした見方はソフトランディング意見と同様に少数派で、市場参加者の大半は金利に対してはタカ派、景気に対しては悲観的である。
いずれにしても、FRBの姿勢は、インフレ抑制のために金利を引き上げることを明確にしている。長期的な物価安定見通しを形成されているのは、金融当局者がインフレを抑制する姿勢を明確にし、金融引き締めの決意を表明していることが寄与していることも事実ではあるが、金利がどこまで上昇するか不明なため、金融市場は安定を欠く展開が続くだろう。