香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は4日続落、リセッション・リスクはグローバル市場に波及
ハンセン指数 17,855.14 pt (▲0.44%)
中国本土株指数 6,137.78 pt (+0.38%)
レッドチップ指数 3,444.56 pt (▲1.85%)
売買代金1,043億5百万HK$(前日808億1万HK$)
週明けの為替相場は、米ドルが断続的に上昇し、主要通貨に対するドル価値を示すドルインデックスは114.50を付け高値を更新した。対ドルレートでは各国主要通貨が軒名み売りこまれているが、英ポンドは1ポンド=1.035まで先週末から一段と下落し、史上最安値を更新した。
先週末、英国政府は、大規模な借り入れにより50年ぶりの規模となる財政政策パッケージを発表したが、金融市場では財政悪化懸念から、英ポンド・英国債が急落した。週明けも、売りには歯止めがかかっていない。英国ではウクライナ侵攻によるエネルギー供給ラインが滞り、長期化するインフレ危機からリセッションリスクが高まっている。英国10年債利回りは4%を超えて上昇し、2010年来の高水準を記録した。英国や欧州中央銀行は米国に追随し、大幅な利上げを実施しているが、金利差が一向に縮まらないことに加え、欧州経済のリセッション入り懸念、米国経済の相対的な底堅さを材料に、為替相場では、ドル一強の様相を呈してきている。
リセッション・リスクはグローバル市場に波及しており、原油相場は需要急減見通しから、北海ブレント原油先物は85バレル/ドルを割れた。今年1月以来の安値水準で、景気後退に伴う先行き不透明感が、市場の変動幅を増幅している。
26日の株式市場は先週に続き投資家のリスク回避傾向を高め、グローバル市場は軒並み、直近安値を更新した。米国市場ではダウ工業株が約3カ月ぶりに30,000ドルを割り込み、約1年10ヶ月ぶりの安値を更新、日経平均は27,000円を割れと、アジア市場にも売りが波及した。
香港ハンセン指数は、日中の取引時間中には、香港の入境時のホテル隔離措置が撤廃されたことを受けて、プラス圏に買い戻される場面もみられたが値持ちしなかった。マカオ政府も、中国本土からマカオへの団体旅行について、早かれば11月に再開を検討と伝えられて、経済の回復を図る当局の動きは、下値を支える材料となった。しかし、終わってみれば、リスク回避の売りは強く、4日続落し、前日比0.44%安と11年ぶりの安値を連日更新した。
世界的景気後退懸念から景気関連株は大幅安だった。金融株では英大手銀のHSBC(0005)が前営業日比7.5%安、英系金融のスタンダード・チャータード(2888)も同7.1%安、中国中信(0267)は同7.0%安。インフラ、エネルギー関連株も下落し、公共事業の長江実業集団(1113)は8.6%安、アルミメーカーの中国宏橋(1378)は6.6%高、インフラ開発の長江和記実業(0001)は5.8%安、中国海洋石油(0883)は5.2%高、ペトロチャイナ(0857)は4.9安、シノペック(0386)は3.1%安だった。
一方、インバウンド銘柄は、先週に続き逆行高となった。大手カジノの金沙中国(1928)は前営業日比15.6%高、高永利澳門(1128)11.0%高、銀河娯楽(0027)は7.1%高、新濠国際発展(0200)は5.2%高だった。そのほか、チケット販売の旅行関連やレストランチェーンなどが物色された。
ハンセンテック指数は市場をアウトパフォームし前日比1.61%高。連日大幅安となった自動車セクターやITテック株に買いがみられた。
中国本土市場は上海総合指数が前日比1.20%安の3,051.23、CSI300指数は同0.50%安の3,836.68と4日続落した。景気後退に伴う世界的株安を受けてた売りは根強く、上海総合指数は2022年月5月以来の安値を付けた。
為替相場での人民元安もネガティブに働いた。人民元は対米ドルベースで1ドル=7.17元を突破し20年5月以来の低水準となった。中国人民銀行は26日、人民元の中心レートを2020年以来の7元台に設定、同日、同銀は金融機関による為替フォワードを通じた外貨買い取引の準備金比率をゼロから20%に引き上げることを発表した。明らかに人民元の売りを阻む意図が見えるが、本質的には、ドルと人民元の金利差が拡大する環境にあり、人民元売りには歯止めが効かない状況が続く。