ハンセン指数は約11年ぶりの安値を更新し、ベアマーケット入りが続く

香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は約11年ぶりの安値を更新し、ベアマーケット入りが続く

ハンセン指数 18,147.95 pt (▲1.61%)
中国本土株指数 6,195.90 pt (▲1.14%)
レッドチップ指数 3,543.08 pt (▲0.77%)

売買代金851億9百万HK$(前日813億0万HK$)

ハンセン指数

金融市場が注目していた米FOMCが終了し、政策金利は3会合連続で75bpsの引き上げられた。今回の利上げでFF金利の誘導目標のレンジは「3.00~3.25%」に引き上げられ3.00%を超えた。FRBのパウエル議長は会見で、経済的な痛手があることは十分に認識しながらも、40年ぶりとなるインフレ高進を抑え込むために積極的な金融引締めに取り組む方針を支持するとした。そしてそれは、米国の経済成長がこれまでのトレンドを下回る可能性が高いことも承知していると述べた。

四半期ごとに改定されるドットチャートが注目されたが、22年末時点での金利予想が「4.25% – 4.50%」に引き上げられた。次回11月、12月の2回のFOMC会合でも計1.25%の利上げがメインシナリオとなることを意味する。それだけ、タカ派的な見通しを示す形となった。金利予測は前々回3月、前回6月から立て続けに上方修正されたことになる。米金融当局がインフレ抑制に向け更に政策を引き締める必要があると認識していることを知らしめるもので、政策金利に敏感な2年米国債利回りは一時4.1%台を付け、2年債と30年債の逆イールドは8月に付けた水準を上回り一時マイナス▲60bps近辺までまで拡大した。急ピッチな利上げは、景気のブレーキとなる懸念から、景気後退の懸念が増幅し、マーケットの警戒感は高まった。

また為替相場ではドルインデックスが急反騰し、約20年ぶりの高値となる111台を付けた。ドル円も一時145円90銭を付け急速に円安が進んだ。日本政府高官から為替介入を示唆する発言もちらほら出ているが、本日開催された日銀金融政策決定会合では金融緩和の現状維持が決定され、為替市場では見透かしたようにドル買いが続いている。象徴的な出来事として、スイス中銀は政策金利を75bps引き上げを実施し、マイナス金利政策を堅持している国は日本のみとなった。グローバル全体で主要中銀の大幅利上げ実施が相次ぐ中、日銀だけが金融緩和姿勢を維持したままでは、円安は続くだろう。日本の消費者物価指数8月は2.0%を超えている。本当に現在の政策が妥当なのだろうか?

そして22日、政府・日銀が円安を阻止するため24年ぶりの為替介入に踏み切ったことが発表された。ドル円相場は一時141円台まで振れた。今回の日本単独での為替介入が、どれだけの効果をもたらすか今後の焦点となる。

香港金融管理局は22日、政策金利である基準金利を75bps引き上げた。通貨香港ドルを米ドルとペッグする香港政府としては、米FRBに追随した追加利上げは致し方ない。しかし、金利引き上げは景気を下押す材料であり、株式市場にとっては不安視された。このため、香港市場は米株安の流れを引き継ぎ連日の大幅安となった。ハンセン指数は一時18,000ptを割り込む場面もみられた。同指数は前日比1.61%安と2011年12月20日以来、実に11年ぶりの安値水準まで下落した。

香港市場は幅広い銘柄に売りが波及し国際銀行のHSBC(0005)は3.5%安、香港取引所(0388)、京東集団(2618)はそろって2.8%安、Eコマースのアリババ(9988)は2.6%安、保険大手のAIA(1299)は2.3%安と下げた。

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.70%安と下落基調が続き、自動車株が大幅安。自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は11.5%安、新興EVメーカーのNIO(9866)は7.5%安、理想汽車(2015)は4.0%安だった。

中国本土株も、米利上げからの景気後退懸念が高まり、上海総合指数は一時3,100ポイントを割れるなど下げ幅を拡大する場面もみられた。上海総合指数は前日比0.3%安の3,108.91、CIS300指数は0.88%安の3,869.34と続落して引けた。

中国人民元は、対ドルベースで一時1ドル=7.1元台を突破し2年3ヶ月ぶりの元安水準に落ち込んだ。中国当局の施策動向を踏まえほどなくして小幅に元高に振れた。中国政府による経済対策への期待は根強く、一定の支えとなっている模様である。

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