香港への入境措置の規制緩和を受けてハンセン指数は3日ぶりに反発

香港・中国市場Dairy ~ 香港への入境措置の規制緩和を受けてハンセン指数は3日ぶりに反発

ハンセン指数18,781.42 pt (+1.16%)
中国本土株指数6,405.38 pt (+1.06%)
レッドチップ指数3,622.43 pt (+0.41%)

売買代金730億1百万HK$(前日910億4万HK$)

ハンセン指数

今夜から明日まで開催される米FOMCを前にFRBが利上げペースを加速させるとの観測を背景に、長期金利の指標である米国10年債利回りは一時3.5%台まで上昇、約11年ぶりの高水準を付けた。利上げ幅は100bpsに達するとの見方は後退する一方で(下図 Fed CME FedWatch参照)、金融市場は3会合連続となる75bpsの利上げを確実視しており、金融引き締めが長期化・大型化するとの見方が広がっている。今回のFOMCで示される四半期経済見通しの中で、一連の利上げ局面のFF金利の最高水準や2023~2024年の金利動向、そしてパウエルFRB議長の記者会見での発言に注目が集まる。

20日の香港市場は自律反発の買いが先行し、ハンセン指数は前日比1.16%高で引けた。前日に終値ベースで3月15日以来、約半年ぶりの安値を更新し、下値不安もあったが3日ぶりに反発した。

中国の景気刺激策への期待も根強い。国家発展改革委員会は、景気回復を支援するため建設プロジェクト推進に資金を追加投入し、国内消費の拡大を図る考えを明らかにした。中国の主要経済指標には前向きな変化もみられるが、中国経済の回復基盤はまだ脆弱で、特に不振にあえぐ不動産部門を支援するための追加経済対策が見込まれている。

昨日大幅安だったハンセンテック指数は前日の下げ幅を一日で打ち消す反騰をし、前日比1.99%高となった。自動車関連株が相場を押し上げ、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は8.85%高、理想汽車(2015)は5.84%高、新興EVメーカーのNIO(9866)は4.57%高と上げ幅を拡大した。

カジノや旅行関連などレジャー関連株も上昇。香港の李家超行政長官は20日、3年近くにわたって香港への入境者を阻んできた入境隔離措置の緩和策について、早ければ今月中に詳細を決定することを明らかにした。大手カジノの新濠国際発展(0200)は14.7%高、高永利澳門(1128)は8.5%高、金沙中国(1928)は7.7%高。旅行予約サイトのTrip.com(9961)は5.2%高となった。

中国本土株指数では、上海総合指数が前日比0.22%高の3,122.41、CSI300指数は同0.12%高の3,932.84と5日ぶりの反発となった。上海総合指数は終値ベースで5月25日以来、4ヵ月ぶりの安値を付けていただけに買い戻しの動きが目立つも上値は重い展開となった。

中国人民銀行は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(LPR)を、1年物LPRは3.65%、5年物LPRは4.30%で据え置いた。人民銀行は、為替相場での急速な人民元安を嫌っており、金融緩和に慎重になった理由は人民元安もあるだろう。中期貸出制度(MLF)の1年物金利を先週、据え置いた他、2カ月連続で短期金融市場から流動性を吸収するなど、市場の資金供給は減らしている。

中国人民銀行は20日に発表した人民銀の中心レートは1ドル=6.9468元と、19日連続で市場実勢より元高方向で設定した。人民銀行らしい元安防衛の構えを示したと言えるが、実勢レートの下げには歯止めが掛かっているとは言えない。人民元は1ドル=7.02元まで下落し、約2年ぶりに節目となる7元台にのせた。足元のしっかりしない中国経済を支援するには、積極的な金融緩和を通して経済支援したいところだが、元安による資本流出懸念にも苛まれるジレンマに陥っている。

関連記事