香港・中国市場Dairy ~ 米金融引締めへの警戒感くすぶり、ハンセン指数の反発は小幅にとどまる
ハンセン指数18,930.38 pt (+0.44%)
中国本土株指数6,508.99 pt (+0.59%)
レッドチップ指数3,687.18 pt (+0.91%)
売買代金818億5百万HK$(前日937億7万HK$)
13日に発表された米国消費者物価指数(8月)が予想を上回り、インフレ高進状態が継続していること、米FRBの金融引締めが続くこと、金利上昇に伴う景気悪化が懸念されることから、大幅安を記録した米国株式市場だったが、14日は小幅に上昇、過剰ともいえる反応からは、ひとまず冷静さを取り戻した。
また中国での感染状況の改善期待も強まった。四川省の成都市は、市内の一部で行動制限の緩和を開始すると発表した。同市は9月1日から約2週間に及び行動制限が実施されていた。中国有数のリゾートである海南省の三亜市でも、40日間に及んだ行動規制を緩和した。新規感染者はピークから減少をたどっており、足元では4日連続で計1,000人を下回るなど正常の兆しをみせ始めた。
15日の香港市場はハンセン指数が前日比0.44%高と3日ぶりの反発とした。前日、同指数は終値ベースで約半年ぶりの安値を記録しており、先行きが不安視されたが買い戻し優勢となった。
セクターでは不動産と銀行株が堅調。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比4.19%高と相場を牽引した。
中国当局は不動産市場の安定化に向け地方政府に住宅支援策を打ち出すよう呼びかけた。広州市では不動産開発業者に対し、住宅販売価格を最大20%値下げすることを許可し、従来の6%の制限を緩めるなどの購入支援策を発表した。
この影響で、不動産開発の碧桂園(2007)は8.7%高、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は5.5%高、政府系デベロッパーの華潤置地(1109)は4.8%高、龍湖集団(0960)は4.7%高と前日からの上げが目立った。
銀行株指数は前日比0.82%高と指数をアウトパフォーム。中国国有大手商業銀行5行は今月15日から個人向け預金金利を引き下げる方針を発表した。普通預金と定期預金双方の金利が調整され、減速する経済の下支えに向けた貸出金利引き下げに圧迫されていた利ざやが改善する可能性があることが材料視された。中国人民銀行は先月、銀行貸出金利の指標となるローンプライムレートを引き下げていた。
中国本土株指数は上海総合指数が前日比1.16%安の3,199.92、CSI300指数は同0.94%安と続落し冴えない動きとなった。明日に控える8月の小売売上高や鉱工業生産など複数の経済指標の発表を控え、午後には様子見ムードが広がった。最近は、中国経済指標の下振れが続いており、今後の指標にも警戒感が高まった。
15日、中国人民銀行は中期貸出制度(MLF)の1年物金利を据え置いた。同銀は先月に1年物金利を10bps引き下げ2.75%としていたが、今回は据え置いた。このところ変動の激しい人民元相場だが、インフレ率が上昇する中、人民銀行が金融緩和に積極的でないとの見方が強い。MLFを通じた供給額は4,000億元にとどまり、6,000億元の満期到来分を差し引くと2カ月連続で銀行システムから流動性を吸収した。
中国人民銀行は15日、人民元の中心レートを1ドル=6.9101元に設定、前日から小幅に元高/ドル安とするも、人民元は対ドルベースで一時6.98元台と節目の7.00元付近で推移するなど、足元の元安は歯止めが効かない状況が続く。
中国・香港市場は世界景気の先行き不安や、中国経済指標の下振れ懸念が強く、足元の内容を見極めたいムードが強くなっている。今月7日に発表された8月の中国貿易統計が輸出、輸入ともに前月から大幅に縮小、9日に発表された8月の物価統計は消費者、生産者ともに前月比で下振れる内容となった。
内需の弱さを反映した結果は、中央銀行の更なる政策緩和余地を与える内容と捉えることもできるが、急激な人民安が続き積極的な金融緩和は二の足を踏む可能性があると考えられる。