アジア通貨が全面安。円安も続落し、ドル円は144円台のせ。香港ハンセン指数は5日続落

香港・中国市場Dairy ~ アジア通貨が全面安。円安も続落し、ドル円は144円台のせ。香港ハンセン指数は5日続落

ハンセン指数 19,044.30 pt (▲0.83%)
中国本土株指数 6,513.22 pt (▲0.65%)
レッドチップ指数 3,644.84 pt (▲0.03%)

売買代金861億3百万HK$(前日822億2万HK$)

ハンセン指数

休場明けの米国市場は米FRBによる積極的な金融引締め策への警戒感が強まり、金利に敏感なナスダック総合指数は7日続落と投資家の不安心理は増幅している。米8月ISM非製造業PMIは事前予想を上回る良好な結果だったが、それがかえって利上げ幅の拡大への懸念を増すこととなり、30年米国債利回りは3.5%台のせと8年ぶりの高水準に達した。

米ドル金利との金利差拡大により、為替相場では、米ドル高・アジア通貨安という形で影響が出ている。ドルインデックスは、2002年以来、約20年ぶりの高値となる110.25まで上昇した。その流れの一環で、ドル円相場は1ドル=144円のせと急激な円安が加速した。ウォンも対ドルで1ドル=1,388ウォンと年初来安値を更新し、2009年の金融危機以来、約13年ぶりの安値水準をつけた。人民元も、一時、1ドル=6.99元まで下落し、節目である7.00元に近づいた。中国人民銀行は7日、人民元の中心レートを1ドル=6.9160元に設定したが、実勢レートとの乖離は今年最大となり、元安への不満をこれまでで最も鮮明に示した形となった。

各国中銀は、インフレ抑制のため、米FRB同様に金融政策スタンスを引締め方向に振っているが、米国経済が堅調に推移していることもあり、一連の利上げを米FRBが主導する形になっていることは否めない。今夜から開催されるECB政策理事会でも前回7月理事会の0.50%幅を上回る利上げを決定すべきとの意見も散見され議論は百出する状況だろう。ただ、それでも、利上げにより景気が失速することを見越して、金融市場ではユーロ先安観が強まっている。ユーロは対ドルで1ユーロ=0.9900ドルを再び割り込み、2002年12月以来のユーロ安水準にある。米ドル高の流れは今後も続くとみられる。

7日のアジア株式市場は前日の米株安を受けて慎重ムードが漂った。取引時間中に発表された8月の中国貿易統計が輸出、輸入ともに前月から大幅に縮小したことも足かせとなった。中国本土でのロックダウン実施により、製造業の生産には影響が出ている上に、消費鈍化による内需低迷も懸念される。9月に入っても大都市を含め、複数の都市で行動規制が継続し、南西部の成都では先週1日から開始したロックダウンの解除時期はまだ発表されていない。先通し不透明な環境も相場の重石となっている。

香港ハンセン指数は5日続落し、前日比0.83%安で引けた。国内外の悪材料から売りが先行し一時2%安とサポートラインの19,000ptを割りこんだ。今年3月15日以来、実に約6ヶ月ぶりの安値を更新してしまった。

景気減速懸念から金融株が売られ、国際銀行のHSBC(0005)は2.0%安、保険大手のAIA(1299)は1.8%安、香港大手行のハンセン銀行(0011)は0.9%安、香港取引所(0388)は0.7%安となった。

ネット関連も安く、動画配信のビリビリ(9626)は4.1%安、動画投稿アプリの快手(1024)、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)はそろって4.0%安、インターネット検索の百度(9888)は3.7%安と下げた。

一方、ハイテク部品などが買われ、スマホ部品メーカーの瑞声科技(2018)は1.9%高、半導体製造のSMIC(0981)は1.1%高、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は0.9%高となった。

中国本土株は上海総合指数は前日比0.09%高の3,246.29と小幅ながら4日続伸、CSI300指数は0.07%高の4,054.98で引けた。両指数は終日、前日終値を挟んだ一進一退の動きとなり、方向感に欠けるも、前述した8月の中国貿易統計が大幅に下振れたことで、中国当局の政策期待が高まり相場を下支えした。

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