積極的な利上げ観測が相場の重石となり、香港ハンセン指数は3ヵ月ぶりの安値

香港・中国市場Dairy ~ 積極的な利上げ観測が相場の重石となり、中国・香港市場は動きが乏しい展開へ

ハンセン指数 19,503.25 pt (▲0.78%)
中国本土株指数6,648.85 pt (▲0.69%)
レッドチップ指数 3,626.04 pt (▲0.67%)

売買代金866億3百万HK$(前日830億9万HK$)

ハンセン指数

米国では積極的な利上げ観測が強まり、米株式市場では主要3指数がそろって6月以来の大幅安となった。先週に続いてセンチメンタルは悪化し、米国債市場の指標となる10年米国債利回りは3.00%水準に達している。今週に控えるパウエルFRB議長が、インフレに直面しリセッションの恐れがある米経済の行方について、どう考えているかがマーケットの焦点だろう。

7月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下振れたことで、8月に入って過度なインフレ期待が後退したのは事実だ。ただ依然としてインフレ率は1980年代初頭以来の高水準である。昨年のジャクソンホールでは、パウエル氏は足元のインフレ率について一過性と判断し、早期の利上げに踏み切らなかったことが事態の深刻化を招いた。今回は何としても足元のインフレを抑制したい一方、景気低迷の兆候に言及し、利上げ打ち止めや利下げに転じる可能性は非常に低いと考えられる。

直接的に示唆する発言を避けるのが常套句であり、数カ月先の見通しが全く分からないという事実からも無難に通過する流れが一つのシナリオだろう。ここ数日の過度なセンチメンタル悪化の反応も、週末に向けて緩和基調に走ると想定する。

23日の株式市場は続落の流れとなり、アジア市場は全面安の様相となった。前日の米株安を受けたほか、中国の景気減速感も重荷になった。中国当局は大規模な金融緩和を実施し、資金繰り難にある不動産開発業者に対して政策銀行経由の特別融資を発表したり、国有銀行には与信拡大を求めるなどの動きがこの数週間で目立つ。当局の景気下支えスタンスは積極的も、経済面の課題が山積みしている。マーケットが素直に好感できない点も投資家心理を表していると考えられる。

香港株式市場は朝方、中国本土市場がプラス圏に転じる場面から堅調も、午後は一転して下落に転じ、ハンセン指数は前日比0.78%安と続落し5月12以来、約3カ月ぶりの安値を付けた。中国では四川省をはじめ猛暑による電力不足で、一部地域の計画転電は延長され、工場の稼働停止や商業施設の時間制限が実施されている。自動車メーカーの吉利汽車(0175)は四川省の工場で先週4日間、生産を停止しており稼働状況については未定と述べている。電力不足は工場やサプライメーカーにも影響がでており同社株は前日比6.2%安と下げた。

自動車セクターが下落。前述の吉利汽車に加え、長城汽車(2333)は4.2%安、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)、広州汽車集団(2238)はそろって2.1%安下げた。

そのほか電気工具メーカーの創科実業(0669)は4.3%安、中国ニット衣料の申洲国際(2313)、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は3.8%安と下げた。

電池・自動車メーカーの比亜迪(1211)は1.7%安、デリバリーサービスの美団(3690)は1.4%安だった。

一方、エネルギーセクターが上昇、中国民間ガス供給の新奧能源(2688)は3.4%高、石油会社の中国海洋石油(0883)は3.3%高、ペトロチャイナ(0857)は2.3%高だった。

中国本土株は上海総合指数が前日比0.05%安の3,276.22、CSI300指数は0.49%安の4,161.08となった。景気鈍化への根強い警戒感が相場の重荷となり、午後は前日終値で一進一退の動きとなった。景気刺激策に期待が高いもの、相場を押し上げるまでには材料は乏しいようだ。

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