中国、主要政策金利引き下げを受けて中国株は反発、積極的な金融緩和継続へ

香港・中国市場Dairy ~ 中国、主要政策金利引き下げを受けて中国株は反発、積極的な金融緩和継続へ

ハンセン指数 19,656.98 pt (▲0.59%)
中国本土株指数6,695.29 pt (▲0.37%)
レッドチップ指数 3,650.58 pt (▲0.08%)

売買代金830億9百万HK$(前日821億7万HK$)

ハンセン指数

週末、米国債市場の指標となる10年米国債利回りが3.00%水準に戻した。利回りが3%を超えたのは今月7月21日以来、1カ月ぶりのことである。複数のFRB高官が9月FOMCで75bpsの利上げに支持を表明した他、今週末開催されるジャクソンホールシンポジウムでは、FRBのタカ派的なスタンスが示されるとの観測が強まっている。

米FRBによる金融引締めへの警戒感が再燃したことで、週明けのアジア市場は売り先行で取引が開始された。ただ売り一巡後は、中国人民銀行が、ローンプライムレートLPRの引き下げを決定したことで中国株式市場はプラス圏に反発した。香港ハンセン指数も一時プラス圏まで上昇する場面もみられた。

スマートフォン・電子部品が下落。スマホ部品メーカーの瑞声科技(2018)が5.5%安、光学部品メーカー(2382)は4.1%安、スマホ部品の比亜迪電子(0285)は3.7%安、端末部品メーカーの丘タイ科技(1478)は3.3%安、スマホ製造の小米集団(1810)が3.2%安となった。小米集団が発表した第2四半期の純利益は、世界的なスマホ需給の低迷で前年比ベース83%減と急落したことがネガティブに働いた。

個別では民間ガス供給業者の新奥能源(2688)が14.2%安と大幅安。6月末時点の中間純利益が前年比17.5%減、一株当たりの配当金(DPS)が前年比17.7%減の64香港ドルとなったことが嫌気された。

一方、中国政策金利の引き下げを受けて本土不動産株が物色対象となった。ハンセン本土不動産株指数は市場をアウトパフォームし、前日比1.28%高。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は3.9%高、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は3.2%、中国政府系デベロッパーの華潤置地(1109)は1.7%高と上昇した。

19日に発表されたハンセン指数の四半期見直しでは新たに4銘柄が追加され構成銘柄は73銘柄に増加した。中国の石炭最大手の中国神華能源(1088)は2.1%高、宝飾販売最大手の周大福珠宝(1929)は0.6%安、製薬会社の輪森製薬(3692)は3.2%高、インターネット検索の百度(9888)は0.9%だった。

中国本土株は上海総合指数が前日比0.6%高の3,277.79、CSI300指数は同0.73%高の4,181.40と小幅高だった。中国政策金利の引き下げを受けたほか19日、中国国務院は新エネルギー車の購入税免除措置を2023年末まで延長することを決定したことも好感された。対象は1,000億元の減税となる見通しで、これを受け自動車株の一角や消費関連が上昇し、指数を押し上げた。

中国、主要政策金利引き下げ

中国人民銀行は22日、金融機関の貸出金利の目安となる最優遇貸出金利であるローンプライムレート(LPR)を発表し、1年物について今年1月以来7ヶ月ぶりに5bpsの引き下げ、3.65%に設定した。各銀行はこれに基づいて貸出金利を決定するため、今回の引き下げは企業への融資活動を増やし、経済活動を促す方針とみられる。

住宅ローン金利の指標となる5年物については今年5月以来、続いて15bpsの引き下げ。先週発表した同銀の1年物中期貸出制度(MLF)に続いて金利の引き下げとなった。

中国各地では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、移動制限措置が強化に傾くなど景気減速懸念が強まっている。特に不動産市場については、ダウンサイドリスクが意識されている。今年に入って、人民銀は積極的な金融緩和を促す姿勢を示しているが、インフレ率が上昇する中で、金融緩和姿勢を明確にしづらい。緩和が中途半端では、一段の景気悪化を防ぐには十分ではない可能性も指摘され、なにより企業も消費者も投資や消費に、慎重にならざるを得ない。

秋ごろに開かれる中国共産党大会を前に、習近平政権は中国経済の減速に対する危機感を強め、金融政策に関して企業に対する融資支援を強化する姿勢を強めている。今回の結果を受けて積極的な金融緩和は継続としてみて取れるが、実体経済にとって景気支援策の一歩になるか注目となるだろう。

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