香港・中国市場Dairy ~ 中国・香港市場は目新しい材料がみつからず、方向感の乏しい展開が続く
ハンセン指数 19,763.91 pt (▲0.80%)
中国本土株指数6,700.42 pt (▲0.81%)
レッドチップ指数 3,616.17 pt (▲0.50%)
売買代金893億4百万HK$(前日840億2万HK$)
香港市場は引き続き上値が重い展開で始まり徐々に下げ幅を拡大した。米株市場はここ数日、米国経済の堅調ぶりから安定感がみられる。対照的に香港市場はアンダーパフォームする場面が目立ち、中国経済の不透明感が指数を押し下げる展開が続く。
ハンセン指数は8月に入って心理的節目となる20,000ポイント付近の攻防が半月も続き、方向感に乏しい。その傾向は出来高にもみられ、売買代金は8月に入って12日連続で1,000億香港ドル割れと閑散な相場が続くことからも明らかだろう。市場参加者不足がここ数日、顕著に目立つ。
香港取引所(0388)が昨日発表した決算でも、上期の1日当たりの取引高は前年比ベースで27%減の1,383億香港ドルと市場参加者の低迷が続き、上期決算は27%の減益となった。足元の新型コロナ規制の影響や、米中の会計問題をめぐる対立から投資家心理を冷やす要因となり、足元のIPOの資金調達額では24億ドルと前年同期の303億ドルがら大幅に減少している。
中国国内の要因も危機感を煽る。足元の新規感染者が拡大する中国では再び警戒感が高まっている。前日17日の中国本土の新規感染者数(無症状者含む)は3,424人と今年5月8日以来の高水準となったほか、一部地域では猛暑による電力不足の影響から、工場稼業が停止されるなどの事態も生じている。
米銀大手のゴールドマン・サックスと野村HDは22年の中国経済見通しをさらに引き下げ、当面のエネルギー制約による電力供給不足を踏まえ、先行き不透明感は強まっていると指摘した。ブルームバーグ調査の中国のGDP成長率は予想中央値が3.8%と当初の成長計画から大きく乖離し、4%台を割った。中国当局は景気減速を食い止めるため追加策を講じる発言が目立つも、足元の経済統計のデータから従来の刺激策の効果は薄い。引き続きゼロコロナ政策を維持する中国経済は非常に厳しい局面を迎えていると考えられる。
18日の香港市場はハンセン指数が前日比0.8%安と下落。朝方は20,000ポイントを試す場面もみられたが下げに転じ、終日軟調な動きとなった。指数は1週間ぶりの安値。ハンセンテック指数は前日比1.0%安で引けた。
昼過ぎに決算を発表した自動車メーカーの吉利汽車(0175)は22年上期の決算が35%減と新型コロナ規制の影響で業績が落ち込み、3.1%安で引けた。自動車セクターは全面安となりEVメーカーのNIO(9866)は4.5%安、長城汽車(2333)は5.9%安、小鵬汽車(9868)は3.6%安、理想汽車(2015)は2.3%安と下げた。
ハイテク株も連れ安となり、動画配信のビリビリ(9626)は4.1%安、人工知能のセンスタイム(0020)は3.7%安、検索大手の百度(9888)3.3%安と売られた。
主要銘柄も売られ、Eコマース大手のアリババ(9988)は2.3%安、決算を発表した香港取引所(0388)は1.9%安、不動産開発大手の碧桂園(2007)は5.1%安、京東集団(9618)は2.8%安で引けた。
一方、インターネット大サービスのテンセント(0700)は市場と逆行し3.1%高。前日に発表した決算は売上高が前年比で3%減と初の減収、売上高、純利益ともに市場予想を下回るも悪材料の出尽くしから買いに転じた。持ち株の売却が報じられたフードデリバリーサービスの美団(3690)も0.6%高で引けた。
中国本土市場は上海総合指数が前日比0.46%安の3,277.54と3日ぶりに反落、CSI300指数は0.87%安の4,180.10で引けた。引き続き積極的な買いにつながる目新しい材料がみつからないなか、上値は重い展開も下値をたたくような売りはみられず小幅安にとどまった。中国市場は引き続き当局の経済へのコミットメント期待が相場を支えた。