香港・中国市場Dairy ~ 台湾をめぐり米中対立が再燃、香港市場は大幅に3日続落
ハンセン指数 20,156.51 pt (▲2.26%)
中国本土株指数 6,885.48 pt (▲2.78%)
レッドチップ指数 3,694.17 pt (▲1.49%)
売買代金1,296億4百万HK$(前日901億9万HK$)
7月28日、米中首脳会談がオンライン形式で開催された。バイデン米大統領と習近平国家主席は、約2時間20分にわたってお互いの意見を表明しあったという。両首脳の会談は5度目で、中国外務省は会談後に声明を発表し、バイデン大統領が「一つの中国」という米国の従来からの基本方針を支持することを改めて表明したと確認した。ホワイトハウスも声明を出し、バイデン氏は、台湾に関する米国の方針は不変であるが、台湾海峡の現状を一方的に変更する取り組みには「強く反対する」とくぎを刺したという。
米国側は今回の電話会談について、「率直で実のある」話し合いだったとの見解を示した。中国外務省は過去の両首脳の会談後に「建設的」と評価するコメントを発表してきたが、今回は両国の声明ともこの表現は盛り込まれなかった。ホワイトハウスは今回の会談を「米中間の意思疎通の経路を維持し深化させ、責任を持って相違に対処し、利害が一致する分野では協力する」取り組みの一環だと説明した。
台湾を巡っては米中間でぎくしゃくしているが、ペロシ米下院議長が8月にアジア歴訪を予定しており、その日程の中で訪台する可能性が取りざたされて中国外務省は反発している。ペロシ氏は8月に日本やインドネシア、シンガポールなどを訪問する予定が伝えられていた。ホワイトハウスはペロシ氏自身の外遊は、それぞれの政治家の判断だとして公式の見解は表明していない。また、ペロシ氏周辺は、安全面での懸念を理由に旅程についてはコメントしていない。
29日の香港株式市場はアジア市場をアンダーパフォームした。米中関係に改善が見えないことに加え、中国共産党が中央政治局会議を開催した後に演説した習近平国家主席は、初めてマンション建設を巡るトラブルについて言及し、危機感を露わにした。また下半期の政策では、新型コロナウイルス対策では「ゼロコロナ政策」の堅持を改めて確認した。GDP成長率5.5%前後の目標達成に対するコミットメントをめぐっては玉虫色だと受け止める市場参加者も増えている。
ハンセン指数は朝方こそ、小高く寄り付いたものの、後場にかけて下げ幅を拡大し前日比2.26%安と、約2ヶ月ぶりの安値水準まで下落して週末の取引を終えた。同指数は6月につけた高値から約10%強下落し、心理的節目となる20,000pt近辺まで落ち込んだ。一方、香港市場の売買代金は6営業日ぶりに1,000億香港ドル超えとなった。
ハイテク銘柄で構成されるハンセンテック指数は他指数を大きくアンダーパフォームし、一時5%強安と構成銘柄はほぼ全面安の様相となった。Eコマース最大手のアリババ(9988)が大幅安となり前日比6.1%安。創業者の馬雲氏が金融会社アント・グループの出資持ち分を減らして支配権を手放す意向だと述べたことが売りで反応した。アント・グループは2020年に上海と香港で上場を計画していたが直前で中止され、その後、幾度となくIPOを検討していると報じられてきた。アリババはアントの発行済み株式の約3分の1を保有している。
他にも幅広く売りが見られ、オンライン医療の京東健康(6618)は8.9%安、阿里健康(0241)は5.9%安とそろって大幅安となった。動画配信投稿アプリの快手科技(1024)は7.1%安、動画投稿のビリビリは6.5%安だった。デリバリーサービスの美団(3690)は6.2%安、Eコマースの京東集団(9618)は4.5%安となった。
中国不動産開発業者の経営危機への懸念により、デベロッパーや管理サービスも下落を続けた。時代中国(1233)は6.5%安、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は5.8%安、不動産開発の龍湖集團(0960)は5.7%下落した。今週、中国政府は相次いで支援策を発表したが、早期の解決には至らず、時間がかかるとの見方が根強く、株価は週間を通して一進一退の動きとなった。本土不動産株で構成されるハンセン本土不動産株は週間で1.79%安とハンセン指数の週間2.20%安を上回るも、不動産セクターの信頼低下が株式市場に波及する可能性が高いと思われる。
中国本土株は上海総合指数が前日比0.89%安の3,253.24、CSI300指数は同1.32%安の4,170.10で引けた。明日31日に7月の中国製造業PMIが発表される予定で、後場に入ってからは、様子見のまま週末の取引を終えた。