不動産開発業者の債務懸念が再燃し、ハンセン指数は4日続落

香港・中国市場Dairy ~ 不動産開発業者の債務懸念が再燃し、ハンセン指数は4日続落

ハンセン指数 20,751.21 pt (▲0.22%)
中国本土株指数 7,125.95 pt (▲0.28%)
レッドチップ指数 3,774.55 pt (▲1.14%)

売買代金1,128億2百万HK$(前日1,084億0百万HK$)

ハンセン指数

6月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比9.1%と約40年半ぶりの記録となった。物価上昇は歯止めが掛かっておらず、今月のFOMCでも少なくとも0.75%幅の利上げ実施が現実味を帯びており、中には1.00%の大幅利上げが選択肢に入ってきたとの声も出てきた。米国株式市場では、米利上げペースが加速することで、景気後退リスクが高まることへの警戒感が強まった。

14日の香港市場では中国景気対策への期待と不動産価格下落による景気停滞リスクが入り混じった。香港ハンセン指数は朝方、値ごろ感から買いが先行したが、午後には中国の不動産開発業者の債務危機が懸念され、不動産株と金融株が下げに転じて、ハンセン指数は4日続落となり約1か月半ぶりの低水準となった。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比1.4%安と連日の安値を更新し2016年2月12日以来の低水準に下げた。不動産開発の龍湖集團(0960)は前日比4.7%下落、中国政府系デベロッパーの華潤置地(1109)は同3.2%下落、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は同2.1%下落した。

中国本土の株式相場でも、銀行株指数が前日比2.5%安と、昨年来安値まで下落した。住宅ローンの不良債権化が顕在化し、商業銀行の招商銀行(3968)は前日比4.0%安、中国郵政儲蓄銀行(1658)は同5.0%安、中国四大銀行の中国建設銀行(0939)、中国銀行(3988)、中国農業銀行(1288)、中国工商銀行(1398)もそれぞれ下落した。

一方、中国EVメーカーや自動車の一角などが上昇。電子機器の比亜迪電子(0285)は前日比6.1%高、小型電子部品メーカーの瑞声科技(2018)、半導体ファウンドリの華虹半導体(1347)は反発し、ハンセンテック指数は2日続伸した。李克強首相が13日に主宰した国務院会議で、政府は先に発表した支援策の実施を続け企業を支援することを改めて示唆した。また消費拡大を促し、環境に優しい家電購入の支援策を強化する施策を決定した。

中国本土市場では上海総合指数は前日比0.08%安の3281.74と反落、CSI300は同0.01%高と前日比で一進一退の動きとなった。

中国の不動産危機と銀行の不良債権化リスクが深刻化

中国全土では、不動産開発会社が資金繰りの影響などで建設プロジェクトが中断され、建設工事が延期する自体が相次いでいると発表された。その影響は一部の住宅購入者にしわ寄せし、住宅ローンの支払いを拒否する人が今週に入って続出している。今週水曜日の時点では50以上の都市の少なくとも100のプロジェクトで住宅ローンの不払いを発生しており、月曜日の28件、火曜日の58件から顕著に増加していることが懸念される。

報告によると、遅延しているプロジェクトは、中国の住宅ローン残高の約1%を占め、すべての住宅購入者が債務不履行に陥った場合、3880億元(580億ドル)の不良債権が増加することになる。13日の取引時間中には一部の中国の大手銀行が対応を急ぎ、足元続く不動産株の急落から銀行株の売りにも波及した。また今回の住宅ローンの支払い拒否は、中国の不動産業界から一般市民にも影響を及ぼし、不動産業界の債務不履行による銀行の不良債権化が深刻となった。

中国本土の不動産価格は下落基調が続き、過去3年間の購入価格の約15%低い水準。直近発表された5月の中国新築不動産価格は9ヶ月連続で下落している。中国の銀行は不良債権リスクについて今のところ影響は小さいとの判断だが、今後の中国の成長鈍化や市民の収入悪化、不動産販売の縮小などを背景に、より多くのリスク事象が発生することが考えられ、中国の社会安定に影響を与えると考えられる。

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