香港・中国市場Dairy ~ 中国独禁法違反でアリババが大幅続落、ハンセン指数は21,000ポイント割れ
ハンセン指数 20,844.74 pt (▲1.32%)
中国本土株指数 7,191.64 pt (▲1.77%)
レッドチップ指数 3,846.36 pt (▲0.34%)
売買代金1,154億9百万HK$(前日1,194億6百万HK$)
11日、米国上場の中国株は大幅急落した。中国当局による大手ハイテク企業への罰金が懸念されたほか、中国本土の新型コロナウイルスの感染拡大と都市規制による先行き不透明な環境が相場を押し下げた。中国企業で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴンインデックスは前日比7.1%安、買収などの案件開示を巡り独占禁止法に違反したとして罰金を科せられたEコマース大手のアリババ中心に米時間で大幅反落したことが、アジア時間の株式市場にも波及した。
香港を代表するハンセン指数は前日比1.32%安とサポートラインとなる21,000ptを割り込み、約1か月ぶりの安値水準まで下落した。前述した通りアリババ(9988)は同5.4%安と前日の米株の連れ安を受けたほか、主力銘柄も下落した。米銀大手の投資判断の引き下げを受けた京東集団(9618)は同1.7%安、テンセント(0700)は同1.3%安で引けた。
個別では中国の電気自動車メーカーのBYD(1211)が大幅安となり一時13%安、前日比11.9%安で引けた。過去3日間では17.5%安となった。同社大株主の米投資会社バークシャー・ハサウェイの全持ち分に相当する株式が香港の清算決済システム(CCASS)に反映され、投資の神様と謳われるウォーレン・バフェット氏が株式保有の調整をすすめるのではないかとの憶測がネガティブに働いた。同氏が率いる投資会社は直近の報告で約20.49%保有している。
自動車セクターも連れ安となり、新興EVメーカーのNIO(9866)は前日比6.1%安、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は同3.8%安、EV電池メーカーのBYD(0285)は同3.6%安で引けた。ハイテク比重の高いハンセンテック指数も同2.14%安と指数も1か月ぶりの安値水準で引けた。
中国本土市場では上海総合指数は前日比0.97%安の3281.47と3日続落。中国国内では新型コロナウイルス感染が再び拡大していることなどを不安視され、CSI300も同0.94%安と反落となった。
15日に第二四半期の中国GDPが発表予定
今週15日金曜日に中国の4-6月(第二四半期)のGDPが発表される見通しである。ブルームバーグの調査によると、市場予想では前年同期比1.5%増加となる見通しであり、第一四半期の4.8%増から縮小する見込みである。しかし、一部の見方では上海をはじめロックダウンの影響により景気縮小が示唆されており、今年4-6月の成長率は2020年以来のマイナス成長に陥る兆候があるとも指摘されている。
中国の習近平国家主席は7月に入ってからもゼロコロナ政策を堅持し、年間GDP成長率5.5%を達成するよう指示している。先月からインフラ建設の強化や不動産セクターへの制限緩和、自動車補助金制度の実施等、経済支援政策がこれまで相次いで発表されている。また中国人民銀行の資金供給や、預金準備率の引き下げを実施し、中国経済のテコ入れを促す方針で動いている。
ただ第二四半期が過去一度しか起きたことのない四半期ベースのマイナス成長となると、今秋に党大会を控え非常に厳しい環境になることが見込まれる。第三四半期のGDP予想ベースでは前年同期比4.5%の成長見込みとなっているが、現時点の都市規制や行動制限を織り込むと目標達成は難しく、追加的な景気刺激策が必要となってくると思われる。いずれにせよ、今週控える足元の中国経済のデータに注目が集まると考えられる。