香港・中国市場Dairy ~ 中国当局が地方特別債の発行を許可へ。香港市場は小幅に続伸
ハンセン指数 21,725.78 pt (+0.38%)
中国本土株指数 7,551.70 pt (+0.17%)
レッドチップ指数 3,935.48 pt (+0.71%)
売買代金1,058億5百万HK$(前日1,120億6百万HK$)
中国政府は地方政府の特別債発行の前倒しを検討
中国当局は、地方政府が来年発行する予定の「専項債」(資金使途を公共事業に限定した特別公債)を年内に前倒し発行することを認めると一部報道が伝えた。
この報道によれば、中国財政省は、景気の下支えとインフラ投資を活性化するために、地方政府に対して7-12月に全体で1兆5000億元相当額の特別公債を許可することを検討しているという。
この措置は、ここ数週間に発表された合計1兆1000億元規模のインフラ投資拡充策に上乗せされる措置と推測される。国家目標であるGDP成長率5.50%を達成するため、下期にも、景気のテコ入れ策を施す意思の現れであろう。
なお、この措置には、国務院と全国人民代表大会の承認が必要となるが、実施されると地方自治体の特別公債発行の限度枠としては過去最大となる。
また、このような特別地方債の発行前倒しは前例がない。極めて異例の措置で、中国政府が足元の景気動向への懸念を強めていることを示している。中国政府は、今後もさらに積極的な景気刺激策を導入するとの見込みが期待感も入り混じって強まっている。
この報道を受けてロンドン金属取引所(LME)の銅先物が19ヵ月ぶりの安値から4%以上反騰した。原油先物は連日大幅に下落していたが、北海ブレント、WTI原油先物ともに100ドル/バレルにのせた。
米国雇用統計、中国物価統計の発表を前に、買い手不在
米国株価指数のS&P500が4日続伸、ハイテク比重の高いナスダック総合指数が4日間で5.2%上昇と景気減速への過度な懸念が和らいだことから、香港株式市場も朝方は高く始まった。
しかし、新規の材料に乏しく、米国雇用統計の発表を今夜、中国本土の物価統計(CPI・PPI)の発表を明日に控え、様子見気分から買い手不在により、株価は全般に下げた。ただ、中国政府の経済対策への期待感は相場を支え下値も底堅かったことは事実である。香港ハンセン指数は、前日比0.38%高で引けた。
個別銘柄では、Eコマース大手のアリババ(9988)は前日比3.5%高、同社株は200日移動平均線(119.7)を上回り、4ヵ月ぶりの高値水準となった。香港取引所(0388)は同1.4%、テンセント(0700)が同0.5%高、個別では6月の販売台数が最高となったEVメーカーのNIO(9866)は同5%高と上げが目立った。
セクターで目立ったのは中国のインフラ投資推進の恩恵を受けそうな石炭・エネルギー関連だった。石炭採掘の兗礦能源(1171)は同3.6%高、非鉄金属の洛陽欒川(3993)は同4.7%高、中国アルミ(2600)は同2.7%上昇した。
中国本土株では、上海総合指数がわずかに反落し、前営業日比0.25%安の3,356.08、CSI300は同0.33%安の4,428.78で引けた。
引き続き、中国本土の新規感染者数は6日連続で300人を超えるなど心理的リスクを抱え、上値は重く、動意の薄い金曜日の取引となった。