香港・中国市場Dairy ~ 中国当局の自動車販売促進の期待から、香港市場は小幅に反発
ハンセン指数 21,643.58 pt (+0.26%)
中国本土株指数 7,538.98 pt (▲0.09%)
レッドチップ指数 3,907.83 pt (+0.93%)
売買代金1,120億6百万HK$(前日1,412億5百万HK$)
7日の香港市場は、前夜に米国市場で金融引き締め政策を懸念して、中短期利回りが上昇、景気後退懸念から利回り曲線には逆イールド化が進行したことが重石となった。ハンセン指数は寄り付きから、マイナス圏で推移した。
しかし、寄り付きからは、中国政府の追加経済対策の効果への期待感と、香港政府がコロナ対策としての旅客機乗り入れ禁止を一時解除したことが材料視され、午後にかけて買いが優勢となり、プラス圏で取引を終えた。
7日、香港当局は同一航空便から5人または5%以上の乗客に新型コロナウイルスの陽性が発見された場合、同ルートの運航禁止を命じる「サーキットブレーカー」制度について、一時停止すると発表した。今年に入って同制度の適用により、100便以上の航空便の運航が停止されられており、金融センターとしての将来に厳しい見方が出ていた。今回の措置の変更は7月1日に新たに香港政府トップに就任した李家超氏が実施する初めての政策で、今後独自色を出してくるかに注目したい。
「サーキットブレーカー制度」を停止すると発表したことで航空、旅行関連株が急反発。香港大手のキャセイパシフィック(0293)は同3%上昇、中国主要航空の中国国際航空( 0753)は同4%高、中国南方航空 (1055) は同3%高、中国東方航空 (0670) 同は2%近く上昇した。
一方、ハイテク銘柄で構成するハンセンテック指数は反落し、同0.45%安で引けた。そのほか不動産銘柄の下げが目立ち、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は同3%安、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は同2%安となった。
中国本土市場でも上海総合指数は前日比0.3%高の3,364.40と3日ぶりに反発。中国国内では新型コロナウイルス感染が再び拡大していることなどを不安視した売りが先行したもの、香港市場同様に下値は底堅く指数はプラスに転じた。
香港市場は中国自動車関連株が大幅上昇。広州汽車 (2238)は同7%高、吉利汽車(0175)、常州自動車 (2333)はそろって同6%高と取引時間で上げ幅を拡大した。中国商務部、財政部など中央政府17部門が発表した通知によると、「自動車の循環の活性化と自動車消費の促進」のための一連の措置を発表した。同通知は電気自動車向け免税措置の延長検討方針や中古車販売規制の一部撤廃計画などが含まれる。また年度末で期限を迎える購入税の支払い免除については、期限の延長を検討する可能性があるとしたことが材料視された。
ゼロコロナ政策を実地する中国では依然として新規感染者の拡大が市場懸念をくすぶる。北京では新たな変異系統「BA.5.2」が発見されるなど主要都市でのリバウンド基調もみられる。アジア市場をはじめ米国市場ではボラティリティの高い動きが続き、市場の目先は商品市況とインフレ期待からリセッションリスクが高まっている。
昨日発表された米ISM非製造業指数については6月は2年ぶり低水準と3ヶ月連続で低下した。FRBが積極的な金融引き締めスタンスを取る中、景気後退をによる労働需要は減退しつつあり、雇用指数は20年7月以来50を下回った。6月のFOMC議事録でもリセッションという言葉は1回も言及されず、インフレへの言及が合計90回に上ったなど近く、FOMCでも景気後退を織り込んで政策転換を進める可能性が高いと思われる。