香港・中国市場Dairy ~ 米景気後退リスクから、アジア市場は全面安
ハンセン指数 21,586.66 pt (▲1.22%)
中国本土株指数 7,545.92 pt (▲1.26%)
レッドチップ指数 3,871.91 pt (▲1.58%)
売買代金1,412億5百万HK$(前日1,226億1百万HK$)
アジア市場は全面安の展開
休場明けの米国市場は、インフレ動向やリセッションの可能性を巡り取引開始早々に前日比2%強下げて始まった。S&P500は終盤にかけては買い戻され前日比小幅プラスまで反発、ナスダック総合指数は同1.75%高で引けた。日中の大幅下落からプラスに転じて終了したのは22年入って4回目、09年以降で最多と価格変動の激しい相場から始まった。
6日のアジア市場はリセッション懸念と先行き不透明感から、全面安の様相となった。ハンセン指数は前日比1.22%安、米国の景気後退リスクが相場の重石となった。また原油先物は前日に大幅反落し、香港市場は関連銘柄が軟調。中国海洋石油(0883)は同5%安、ペトロチャイナ(0857)は同4%安と大幅反落した。
銀行・保険株など金融株も売りこまれた。米債券市場では約3週間ぶりに逆イールドが発生。中銀香港(2388)、HSBC(0005)は同3.5%安、商業銀行の招商銀行(3968)、保険大手の中国人寿保険(2628)、中国平安保険(2318)は同2%近く売られた。三菱UFGフィナンシャルグループが持ち株売却を検討していると報じられた大新金融集団(0440)は同1%安。同行は大新金融の約10%の株式を保有している。
旅行・観光銘柄も軒並み下落した。中国大手航空会社の中国東方航空(0670)、中国国際航空(0753)、中国南方航空(1055)はそろって反落、旅行予約サイトのTrip.com(9961)、同程旅行(0780)は同6%近く売られる場面もみられた。足元、上海では再び感染のリバウンド懸念が不安心理を煽る流れとなった。
5日の中国本土の新規感染者数(無症状者含む)は427人の感染と前日の335人を上回り4日連続で300人を上回った。このうち286人が無症状の感染者が占める。内訳は安徽省が222人と最も多く、上海が24人、北京が6人。
上海当局は陽性者が相次いだことを理由にに5~7日に16地区のうち9区の全市民1000万人を対象に2度のPCR検査を実施すると発表した。上海では先月27日、トップの李強・市共産党委員会書記が新型コロナウイルスとの闘いで勝利を宣言したばかりだった。また陝西省西安では、本日から7日間のコロナ規制を実施、飲食店をはじめ学校や商店が閉鎖するなど制限措置が敷かれた。
マカオにおいても2020年以来、初めてカジノ施設が閉鎖された。コロナのクラスターが発生したSJM(0880)のホテル・カジノ施設「グランド・リスボア」を6日から封鎖すると発表した。今月11日の再開見込み。マカオ域内では流行開始以来最大の感染拡大が続き、ゼロコロナ政策と隣り合わせの経済停滞懸念も高い。
米国市場では逆イールドが発生
米債券市場では、長期債利回りが約1か月ぶりの低水準まで急低下し、中短期米国債利回りが、長期債の指標となる10年米国債利回りを上回る「逆イールド」現象が発生した。一般的に短期金利が長期金利を上回ることは景気後退のシグナルとされ、世界景気の減速懸念が強まったことがイールドカーブに現れた。逆イールドの発生は3週間ぶりである。
為替市場でもドルインデックスは2002年来の高値を付ける一方、ユーロは対ドルで20年ぶりの安値に沈み、1ユーロ=1.02ドル台をつけた。他通貨も軒並み下落し、景気後退懸念が強まる中でリスク回避のドル買いが顕著にみられた。新興国通貨にも売り圧力が見られ、アジア通貨も下落した。
商品相場ではWTI原油先物が今年5月11日以来の100ドル/バレル割れとなり前日比で約10%下落した。シティグループが、景気後退懸念から、原油相場は70ドルを割り込む可能性があると指摘した。他の米大手銀は依然として、世界の原油消費は供給を上回っており、昨日の急落は行き過ぎとの見方を示したため、相場は一時持ち直す場面もみられたが、売りは根強く、下落基調が続いている。
ブルームバーグの報道では、消費者心理が過去最低を記録し、今後1年間に米国が景気後退する確率はおよそ38%まで上昇した。3か月前はこれが0%だった。来年末のリセッション確率についてはさらに高く、試算では2024年初頭まで米国がリセッションに陥る確率はおよそ75%と報じられた。市場の懸念が増幅した形で、行き過ぎの感はあるが、今週末控える米国雇用統計を前に、懸念が強く意識される展開が続くだろう。