香港・中国市場Dairy ~ 米中対立の緩和期待から一時反発も、追加材料なく、上値が重い展開
ハンセン指数 21,853.07 pt (+0.10%)
中国本土株指数 7,642.45 pt (▲0.07%)
レッドチップ指数 3,934.10 pt (▲0.04%)
売買代金1,226億1百万HK$(前日1,314億5百万HK$)
7月5日、イエレン米財務長官と中国の劉鶴副首相がオンラインで会談した。中国商務省は、米国の経済制裁や物価の高騰などについて、建設的に意見を交換したと発表した。バイデン大統領はトランプ前大統領が課した米国による対中追加関税の一部について撤廃を検討していると噂されており、その実現が近いとの憶測をよんでいる。これを受け香港ハンセン指数は朝方に、22,000ptを一時回復した。ただ午後に入ると、追加の材料に乏しく、中国本土での新規感染者数が増加傾向にあると伝わったことから、上値が重い展開となった。
香港ハンセン指数は前日比0.1%高と小幅な上昇にとどまった。Eコマース大手のアリババ(9988)が同2%高、オンライン医療の阿里健康(0241)は同5%高と上昇が目立った。先週急落した人工知能開発のセンスタイム(0020)は同8%高で引けた。同銘柄は過去2日間で65%近く下落していた。
その他には、中国のバイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)が前日比6%高、同社の子会社2社が米輸出管理リストから近く除外される可能性があると報道されたことも材料視された。米商務省は2月に、米国からの輸出品がどのように使用されているかを検証するため、立ち入り検査ができていない企業をまとめた未検証リストに同社の子会社を加えていた。中国当局は、米国の輸出管理局が検証するために立ち入ることを先週許可したことを伝え、結果が好ましいと判断されればリストから外れる可能性が取り沙汰された。同業の薬明康德(2359)も同4%高となった。
中国本土株では、上海総合指数がわずかながら反落し、前営業日比0.04%安の3404.03、CSI300は同0.14%安の4,489.54で引けた。同指数は4ヶ月ぶりの高値だったこともあり、利食い売りに押される場面もみられたが、午後からは買い戻され反落分を埋める形で引けた。
米国は中国に対する対中追加関税の一部撤廃を検討
バイデン米大統領は、早ければ今週中にも、中国の消費財に対する関税の一部適用除外を発表する可能性があると報じられた。トランプ前大統領が中国製品に課した関税が7/5に期限を迎えることから、米国政府は一部の中国製品の関税を新たに見直しする必要があるとコメントした。最終的な決定は現段階では未済で、発表時期は、更にずれ込む可能性はあるもの、インフレが加速する中で、輸入物価を押し上げている消費財の関税を引き下げることで消費者の負担を軽減させる意図が透けて見える。
ただテクノロジー製品などの戦略的分野では、関税を引き上げる恐れがあるとの指摘もあり、両者の協議は注目しておかなければならない。米中による制裁・報復関税の応酬が激化した「貿易戦争」は明日7月6日で丸4年が経過することになる。
中国経済指標は回復傾向が続く
5日発表された、中国財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は54.5と前月の41.4から大幅に改善した。2021年7月以来の高い水準に回復し、市場予想(49.6)も大幅に上回った。先週1日に発表された6月の財新製造業PMIでも51.7と市場予想(50.1)を上回って2021年5月以来の水準を回復していた。製造業・サービス業とも大幅な改善が見られるが、財新が調査するPMI統計は、より民間企業の構成比率が高い。ロックダウンによる行動規制が緩和されて、敏感に需要が回復したことにより、直接的な影響が見える。
ただ、今日も報じられていたように、依然として中国本土の新規感染者数は増加傾向にあり、警戒感も強い。昨日の時点で、中国本土の11都市では引き続き、全面的もしくは部分的ロックダウンが維持されたままであり、先週の5都市から増加していることも事実である。中国東部の安徽省では、前日の新規感染者(無症状者含む)は335人と3日連続で300人を上回って、感染の拡大が顕著である。上海や北京などの大都市でも、中規模なクラスターが発生するなどリバウンドへの懸念はくすぶっている。