(5月24日)米国株式市場はデジタル銘柄を中心に波乱の展開

スナップ社が業績予想を大幅下方修正

5月24日、米国株式市場では、ソーシャルメディア銘柄が軒並み値を下げ、ナスダック総合指数は前日比2.4%下げて11,264.45で引けた。「スナップチャット」アプリを運営するスナップ社が、23日の取引終了後に今年第2四半期の売上高と利益の見通しを大幅に下方修正したことがきっかけになった。24日のアジア時間の時間外取引でナスダック先物は値を下げていたが、米国時間の通常取引でもスナップ社が下げ続け、同社株は前日比43%安の12.79ドルと上場来最大の下落となった。

市場では、業績悪化は、スナップ社の個別の問題ではなく、米国経済全体の減速に起因し、インターネット業界全体の広告収入に影響を与えると懸念される。そのため広告やアドテック銘柄も幅広く売られた。ソーシャルメディア銘柄では、より大きいプラットフォームの企業が一段と大きな影響を受けると懸念されることから、メタ・プラットフォームズ(フェイスブックを運営)、アルファベット(グーグルの親会社)、ツイッター、ピンタレストも株価を下げた。

先週の米国株式相場の下げは、小売大手のターゲットやウォルマートの業績悪化がきっかけで、消費関連銘柄主導だった。24日の取引では、公益関連や生活必需品関連銘柄が反発したことからS&P500指数は前日比0.8%安の水準で下げ止まったが、物価上昇、消費動向や企業業績悪化に加えて金利上昇など懸念材料は増えていることが気がかりである。

経済指標では、米国新築一戸建て住宅販売(4月)はほぼ9年ぶりの大幅減少となった。新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比16.6%減って59.1万戸と、2020年4月以来の水準に低下した。前月は速報値の76.3万戸から70.9万戸に下方修正された。住宅価格の高騰と、ローン金利の急上昇の影響が出始めていると考えられる。新築住宅販売価格の中央値は前年同月比で19.6%上昇し、過去最高の45.06万ドル(約5700万円)と過熱感は否めない。

金融市場では、米国経済のリセッション入りにも警戒感が強まっており、筆者は一時的にではあるが米国株式相場の調整は今しばらく続き、S&P500で3,550水準まで下げることを予想している。米国経済のリセッション入り懸念から、金利は全般に低下した。10年米国債利回りは前日比0.09%低下して2.76%で取引を終えた。為替相場では、米ドル金利の低下と株価の混乱を嫌った動きからドル売り円買いが進み、ドル円は一時1ドル=126円50銭までドルが値を下げた。

【24日米国市場引け】

ダウ平均                                    31,928.62                  前日比+0.15%

ナスダック総合 11,264.45                前日比 -2.35%

S&P500                                         3,941.48                  前日比 -0.81%

2年米国債利回り                 2.48%                         前日比 -0.09%

10年米国債利回り               2.76%                         前日比 -0.09%

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