18日の米国株式相場では、前日のパウエルFRB議長が金融政策を一段と引き締めることを示唆したことや、物価上昇が消費動向や企業業績に影響することが懸念され始める中、小売業の業績が振るわないことをきっかけに消費関連銘柄主導で売り圧力が増幅した。
小売大手のターゲットが発表した第1四半期(2-4月)の決算は、純利益が前年同期比52%減と大幅に落ち込み10.1億ドルとなった。燃料価格の高騰や輸送コストの増加が重く、第2四半期もコスト増を理由に利益予想を引き下げた。ターゲットの株価は一日で20%を超える下落で、1987年10月のブラックマンデー以来の下げ幅を記録した。前日に利益見通しを下方修正していたウォルマートも大きく下げ、一般消費財と主要消費財銘柄がともに前日比6%超の大幅安となった。
物価の上昇率が賃金の伸びを上回り、実質賃金が目減りしていることで、消費に影響が出始めていることは、米国経済の先行きを不透明にする。今回の小売業での業績見通し悪化は、コスト増加と消費を手控える消費者の動向を敏感に反映している。ターゲットのブライアン・コーネルCEOは、消費者がテレビなどの高額消費財から買いを手控えるようになっていると指摘した。
金利敏感株も売り圧力にさらされた。アマゾン、エヌビディア、テスラが前日比7%程度下げたほか、アップルは同5.6%安とだった。ニューヨーク証券取引所の銘柄では、値下がり銘柄と値上がり銘柄の比率は5.09:1、ナスダック銘柄では3.52:1で、全般に売りに押された。S&P500では主要11業種全ての指数が下落した。S&P500は前日比4.0%下げ、ダウ平均は同3.57%下落し、2020年6月以来の値幅下げた。年初来ではS&P500は18%下げ、ダウ平均は同27%下げた水準である。
筆者は一時的にではあるが米国株式相場の調整は今しばらく続き、S&P500で3,550水準まで下げることを予想している。
一方で、米国経済のリセッション入り懸念から、金利は全般に低下した。10年米国債利回りは前日比0.11%低下して2.88%で取引を終えた。
【18日引け】
ダウ平均 31490.07 前日比 -1,164.52 (-3.57%) 前日終値 32654.59
ナスダック総合 11418.15 前日比 -566.37 (-4.73%) 前日終値11984.52
S&P500 3923.68 前日比 -165.17 (-4.04%) 前日終値 4088.85