4月19日、為替市場では、ドル円相場が東京時間の午後1時過ぎには、128円台にのせた。翌20日には、東京時間の取引で19日のレンジから更に1円以上のドル高となり、129円30銭台までドルが上昇する場面があった。ドル円は、米ドルが主要通貨に対して全面的に買われる流れが鮮明になる中、1ドル=125円という精神的な壁も、2015年高値125円86銭も乗り越えて上昇し、ドル高の勢いは歯止めがかからない。
やや過熱感を警戒する参加者もいるが、130円の手前で利益確定売りにいったん頭を押さえられながらも、130円に乗せる可能性は高まっている。もはや、安全通貨としての円の位置づけは一変してしまった。
鈴木財務相は円安に関して「プラスの面もあるが、現状の経済状況を考えるとデメリットが強い」と述べるなど、日本政府関係者からは円安をけん制するような発言が相次いだ。しかし、基本的に為替の動きは、市場に委ねるとの姿勢を貫く米金融当局は、為替介入などには否定的である。そもそも、米FRBがインフレ抑制を全面に打ち出している以上、輸入インフレへの方向と看做されるドル売り円買い介入などは、ありえない選択肢でもある。口先介入に、効果は期待できないだろう。
今週20日からは、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催されるほか、日米財務相会合も合わせて予定されている。一部には、その場で何らかのコメントがでる期待もあるが、米側には為替の水準を云々するインセンティブはないと考えるべきだろう。
そもそも、日本以外の主要国は金融政策を引き締める方向感が出始めている。そのため円は他の主要通貨に対しても、円安が進みやすい状況になってきている。一方の日銀は、10年日本国債利回りのレンジ(0.00%±0.25%幅)の上限を超えた金利上昇を嫌って、債券を買い入れるオペレーションを実施した。3月30日に続いて、4月20日にも実施したことで、円金利の上昇が抑制されることは、確認された形である。これも、ドル円やユーロ円での円売り材料とされている。
日本の3月貿易収支が発表、8カ月連続の赤字となったことも円安材料とされている。貿易収支の赤字は、経常収支の悪化観測に繋がり、円売りの材料と解釈されている。