香港デイリー 3/9
ハンセン指数▲0.67% 4日続落
9日の香港市場~景気後退懸念から、香港市場は一時大幅安
ハンセン指数 20,627.71 pt (▲0.67%)
中国本土株指数 7,189.58 pt (▲0.67%)
レッドチップ指数 3,952.96 pt (▲1.54%)
売買代金1,852億9百万HK$(前日1,707億7百万HK$)
前日のNY市場は一時大幅高も、大引けにかけて上げ幅を縮小し3指数は揃ってマイナス圏まで下落。バイデン氏の記者会見が取り行われ、ロシア産の原油、天然ガス、石炭と関連製品の輸入を全面的に禁止すると発表した。同日、大統領令に署名し、即日発行となった。英国も同様に輸入禁止の検討をしている。一方、欧州については大部分をロシア産原油に依存していることもあり、対応については判断を任せるとコメントした。米国は攻勢を強めるロシアに対して圧力をさらにかけるには、ロシア経済を支えるエネルギーに切り込むしかないと判断したことも今回の行動を踏み切った要因と考えられる。これを受け原油先物は再び上昇、ブレント原油先物は130ドル/バレルまでプライスを戻した。また金先物はパンデミックが発生した2020年7月の高値まで接近し、2,000ドル/オンスをブレイク。先行き不透明な経済が鮮明に現れた結果となった。
商品市況で懸念されるのニッケル価格だ。昨日ロンドン金属取引所はニッケルの取引を一時停止した。同価格は二日間で250%上昇し、初めて$10.000/トンに達した。急激な値上がりを受けて同日取引を停止し、再開は11日以降になる見込みだと発表。ロシア産の供給不安を背景に買いの拍車がかかったと考えられる。ステンレスなどに使われるニッケルは自動車のバッテリーなどに使用されており、電気自動車を手がける企業にとっては資源高の影響を被る可能性が高い。前日、電池・自動車メーカー比亜迪(1211)は9.45%安、ニッケルだけでなくリチウム供給も不足視されている他、月曜日には中国建設銀行が証拠金を求めるマージンコールが$100億ドル必要という報道も材料となったと思われる。
9日の香港市場は引き続き売られ4日続落となった。ハンセン指数は一時600pts下落し、2016年6月以来の20,000pt付近を意識するところまで下落。林鄭行政長官は午前、記者会見を行い3月末に予定されていた全国民750万人を対象としたCovidテストについては詳細なことを言及せず、国民全体の強制検査は最優先事項ではないが、計画的に進める必要があると説明した。計画の後ろ倒しと今後の経済停滞がより長期化になることが示唆され、香港指数は下げ幅を広げた。構成銘柄では中国スポーツ用品の李寧(2331)が大幅安、ノルウェー政府系ファンドのSWFは、新疆ウイグル自治区での人権侵害を促進する役割を担ったと判断し、投資対象から除外したことが材料となった。またスポーツ用品の在庫が減少したことも要因、同様にスポーツシューズ生産・販売の安踏体育用品(2020)も連れ安となった。中国不動産セクターもさえず、カントリー・ガーデン(2007)、中国海外発展(688)、華潤置地(1109)は揃って大幅安、石油、天然ガス等も売られた。一方、前日大幅反落した自動車関連は自律反発し、吉利汽車(175)、比亜迪(1211)が揃って3%強の上昇、そのほか大型株ではHSBC(0005)、美団(3690)、Xiaomi(1810) が2%上昇した。またハンセンテック指数は逆行高となり0.3%高。画像処理のセンスタイム(20)、自動車の小鵬汽車(968)が5%近く上昇し連日の最安値から反発した。
個別銘柄
GEELY AUTO | 吉利汽車 | 0175.HK | 4.82% | 民間自動車メーカー |
XINYI SOLAR | 信義光能 | 0968.HK | 4.07% | ガラス生産 |
BYD COMPANY | 比亜迪 | 1211.HK | 3.20% | 電池・自動車メーカー |
COUNTRY GARDEN | 碧桂園 | 2007.HK | ▲7.06% | 中国不動産開発大手 |
ANTA SPORTS | 安踏體育 | 2020.HK | ▲7.40% | スポーツシューズ生産・販売 |
LI NING | 李寧 | 2331.HK | ▲9.35% | 中国スポーツ用品 |
香港 初SPAC上場を承認
香港で初めてのSPACでの上場承認を得たAquila Acquisition Corp.が3月22日に上場することが一部報道された。3月11日に正式に書面で発表される予定。Aquilaは、1株あたり10元の価格で、1億株のクラスA株を発行し、投資家向けに10億元($1.58億ドル)を調達する予定だ。香港取引所は今年1月1日からSPAC上場を解禁しており、アジアでもSPACを通しての上場には注目が集まっている。より短期間で株式上場を実現できる仕組みは通常のIPO以外の手段を提供し、中華圏や東南アジアなど世界各国の企業の香港市場への誘致を強化できると見られる。