3月5日から、中国で全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕した。
その冒頭で李克強首相が発表した政府活動報告によると、中国政府は2022年の国内総生産(GDP)成長率目標を、5.5%前後と設定したことが明らかとなった。成長率目標としては、過去30年で最低の水準である。中国経済は、不動産市場は低迷しておりやゼロコロナ政策のための厳しい制限措置の影響から消費も低迷している。また、世界経済の先行きは、インフレリスクに地政学的なリスクも高まり、不透明感が強まっている。
政府活動報告では2022年の財政赤字を対GDP比で2.8%とするとの目標も示された。昨年は3.2%前後だったため、その分、財政政策としては抑制的になると予想される。雇用対策としては、都市部で1,100万人超の新規雇用を創出する計画で、失業率は5.5%未満に抑え、消費者物価指数(CPI)上昇率は3%前後とする目標が示された。
李首相は、金融政策により土地と住宅価格の安定を図ることを言明したが、具体策について詳細は示さなかった。昨年12月以降に実施されたプライムレートの引き下げなどの実施が、選択肢に入るだろうが、インフレ率が上昇する中で、表立った緩和措置は採用しづらい。人民銀行が実施するとしても小幅なものになるのではないか?
【中国経済アップデート】全人代開幕の中国、“減速感”が強まるか(3/5公開)