2月14日から17日の振り返り
今週の米国株式相場はリスクオンとオフが猫の目のように変化する荒れた展開だった。コストプッシュインフレ圧力を背景に、米FRBは金融政策を変更し、本格的な引き締め姿勢への転換が見えてきている。これに加えて、ウクライナを巡る問題が欧州の地政学的リスクとして顕在化したことが材料として金融市場に重くのしかかり、警戒感が強まっている。週を通してみれば、「Fly to Safety‐安全資産」への逃避の動きが顕在化したといえるだろう。
月曜日14日に下げて週を始めた米国株式相場だったが、火曜日・水曜日はやや楽観的な見方を取り戻した。しかし木曜日17日には、再び厳しい見方が広がり、大幅に値を下げ、S&P500に採用されている銘柄の8割超が下落した。2月17日に、S&P500指数が4,380.26、ダウ平均34,312.03ドル、ナスダック総合指数が13,716.72で引けた。
米国債券相場は、短期債には利上げへの警戒感から買いが入りにくいが、中期ゾーンの米国債には、安全資産選好から買いが入り、10年米国債も買い進まれた。2月に入って2%超の利回りに上昇していた10年米国債は2%水準を割り込んで1.96%で引けた。
ウクライナ情勢を警戒した安全への逃避行動は、為替相場では、安全通貨とされる円とスイス・フランを押上げた。ドルは安全通貨に対しては下げたが、ユーロやスウェーデン・クローナなどに対しては上昇したため、ドル指数は横ばいの動きだった。金も選好され1,900ドルを超えてきた。
米国とロシアによるつばぜり合いは、緊迫感を伴っている。ウクライナ侵攻をちらつかせるロシアには、米側の不信感は根強い。バイデン米大統領は繰り返し、ロシアがウクライナ侵攻の準備を進めている証拠を握っているとロシアを警告している。対するロシアは、ウクライナ侵攻の事実はなく、計画もないでたらめと言明した。
金融政策に関連してはセントルイス連銀のブラード総裁が、インフレを抑制するには政策金利が中立金利を超える水準に上昇する必要があるかもしれないと発言した。加えて、7月1日のFOMCまでで政策金利を計1.00%以上引き上げるべきだとの見方を示した。インフレが全く抑制されていない焦りもあるだろう。
原油相場も、ボラティリティーの高い状況が続いた。イランが核合意に復帰し、原油の供給が増加する可能性が取りざたされる一方で、ウクライナ情勢を背景に地政学的リスクを懸念したリスクプレミアムは価格変動を大きくしている。WTI先物3月限は、1バレル=91.76ドルで取引を終えた。
金相場も続伸した。バイデン大統領はロシアがウクライナに侵攻する可能性を「極めて高い」と述べたことから、金相場は1オンス=1900ドルを超えた。安全への逃避に動く市場参加者は着実に増えている。