2022年の金融市場は3日初日、米国市場での取引を無難に終えた。
株式相場は高値更新
米国株式相場は一段と上昇し、S&P500とダウ平均が終値ベースでので最高値を更新した。ただ、取引量は多くはなく薄い商いだった。S&P500は、前週末比0.6%高の4,796.56で取引を終えた。ダウ平均は同0.7%高い36,585.06ドルで終了した。ナスダック総合指数も、同1.2%上昇し15,832.80で引けた。
個別銘柄では、テスラ社が急伸し、前週末比14%高の1,199.78ドルまで上昇した。第4四半期(10-12月)の世界出荷台数が30.8万台と過去最高を記録したことを好感した。アップル社も株価が上昇し、時価総額はザラ場で最高値182.88ドルを付け、この時点で3兆ドルの大台にのせた。ウイズ・コロナの生活が続く中でも、リモート勤務や授業に伴うデジタル化の恩恵を受け、エンターテインメント需要も伸びている上に、自動運転車への参入期待も強まった。アップルは引けでは、先週末比2.5%高の182.01ドルで取引を終えた。時価総額は2.99兆億ドル。
債券相場は利上げを警戒
今年は米FRBが3回の利上げを実施することを織り込んでおり、米国債券相場は下落してスタートとなった(利回りは上昇)。世界的な景気刺激策・緩和策の解除が、債券に与える影響は大きい。何より、短期金利は上昇する事となるが、何処まで、どのタイミングで上昇するかを当てるのは非常に難しいテーマである。
3日の取引で、2年米国債利回りは一時0.80%を超えた。これは2020年3月以来の高い水準である。引けは、0.78%だった。
10年米国債利回りは1.63%まで上昇した。こちらは昨年11月下旬以来の高い水準である。早晩、昨年3月につけた1.75%水準が視野に入るだろう。30年米国債利回りも、0.12%上昇し2.00%を超えた。
米国が利上げに転じるのは、2018年以来である。2020年のコロナ禍で急激な金融緩和に転じ、金利の低下のみならず、量的にも大量の資金をばらまいた。それを巻き戻すわけだが、どれだけのペースで資金が回収されるか、どのように市場に影響を及ぼすかを言い当てることは難しい。
長期金利は、現在はコシの強い米国経済の動きを見ながらにはなるが、短期金利が上昇して発射台が高くなれば、長期金利にも上昇圧力になる。値動きの大きな年になる可能性は高い。
為替相場では、米ドル金利の上昇を受けて、ドルが堅調だった。ドル円は115円40銭台まで上昇した。ユーロドルでも、ドルは強く、1ユーロ=1.1300近辺までユーロ売りが進んだ。オーストラリアドルも対ドルでは売られ、1ドル=0.72豪ドルをつけた。中期的には買いを考えたいところである。
香港・上海株は中国恒大がネックに
3日の香港株式相場では、中国恒大が内部情報を更新する必要があると届け出たことで、同社株の取引が停止された。その憶測から、香港株や上海株は軟調に推移した。中国の一部メディアによると、中国恒大は海南島で開発中のリゾート施設について、地元当局から違法建築と認定され39棟の建物の撤去を命じられた模様である。いずれにしても、同社の破綻処理が進むことが香港・中国株にとってのプラスであるが、しばらく時間はかかるだろう。4日の取引は、小反発して始まっている。