中国人民銀行は、断続的に金融緩和策を継続
<中国新築住宅価格は3カ月連続の下げ>
中国国家統計局が、先週15日発表した統計では、主要70都市の新築住宅価格(11月)は前月比で0.33%下落だった。新築住宅価格は11月で3カ月連続で値下がりした。10月は同0.25%下落だった。中古住宅価格は同0.37%の下落で4カ月連続の値下がりだった。
先々週、中国社会科学院が発表した2022年の『経済青書』によると、2022年の成長率は前年比5.3%前後と見込まれ、不動産市況の低迷が、中国経済の成長を圧迫する要因になることが指摘されている。筆者も、このまま行けば来年前半まで、不動産市況の改善は見込めないと考えており、不動産開発業者の資金繰り難とも相まって、来年前半は中国経済全体に停滞感が続くと考えている。
<ローンプライムレート(LPR)1年物金利を低下容認>
20日、中国人民銀行は、ローンプライムレート(LPR)1年物金利をを3.80%に引き下げることを発表した。昨年4月以来3.85%だったがこれを0.05%引き下げた。不動産市場の停滞やオミクロン株感染の拡大がジワリと増加する中、景気下支えの効果を狙ったものであろう。ただし、住宅ローン金利の基準となる5年物金利は4.65%に据え置かれたままで、的を絞った引き下げであると言えよう。
中国人民銀行は、今月6日に預金準備率を引き下げたばかりで、矢継ぎ早に緩和策を継続している。インフレ圧力も存在する中で、金融緩和が継続するとは受け止められたくないだろうが、足元の経済状態が芳しくないことを示す指標も出ており、市場での中国人民銀行に対する緩和期待は、膨らんでいる。来年の早い時期に、再度、預金準備率の追加引き下げが行われるとの観測が出ているほか、利下げに踏み切るとの見方も出てきている。
<人民元は人民元金利低下の中緩やかに下落>
人民元は、6日の中国人民銀行の預金準備率の引き下げによる実質的な金融緩和や不動産開発業者の資金繰り難、そしてオミクロン株の感染症例の確認と、人民元売りの材料が多く、この2週間ほど軟調に推移した。米政府が、新たに中国企業数社を投資禁止リストに追加するとの報道も、米中関係を緊迫させ、中国経済には圧迫要因になるとして、人民元は小幅続落した。1米ドル=6.3人民元台で、緩やかに人民元が値を切り下げる動きが続くだろう。
中国株式相場は、米国バイデン政権が、投資禁止リストに中国企業を追加することを検討しているとの報道から反落した。CSI300指数は4,954.76で引け、先々週、5,000の大台を超えて5,055.15で引けたムードを冷やした。20日のプライムレート下げの後こそ、一時反発したが、値を保てず反落しており、5,000台載せは厳しいと見るべきだろう。中国株式相場の反転上昇にはまだ時間が掛かると見ている。