FRBって何?
経済ニュースを読むとよく出てくるキーワードに「FRB」という言葉があります。何かご存じでしょうか?
FRBとは、The Federal Reserve Boardの略で、米国の連邦準備制度理事会のことを指します。この理事会は、米国の金融政策の策定を担い、米国の中央銀行ともいえる連邦準備制度を統治する7人のメンバー(持ち回りで投票権を持つ地区連銀の総裁含む)からなる機関です。したがって、FRBは公開市場操作や政策金利の設定を通じて金融政策を実行・実施します。
連邦準備制度理事会(FRB)の仕組み
FRBは連邦政府から独立した非政府機関の独立機関とみなされます。しかし、非政府機関でありながら、金融政策を通じて適切に金利水準を保ち、雇用の最大化と価格を安定させるという米国法上の義務を負っています。これは、金融政策を判断し、実行するために、立法府や行政機関に影響されることなく、独立して判断するべきとの考えに拠っています。一方で、権力を持つ以上、説明責任は求められ、FRB議長や当局者は、連邦議会で証言し説明することが求められます。議会証言などの機会が多いのもそのためです。
FRBのメンバーは大統領によって任命され、議会上院によって承認されます。原則として、任期は14年間です。ただし、誰かの後任として任命される場合は、新理事は、退任理事の残りの任期を務めることになっています。もちろん、再任は妨げられません。
FRB議長と副議長は、既存の理事の中から4年の任期をもって大統領が任命します。議会上院の承認が必要であることは理事と変わりません。また、再任も可能です。FRB議長は、正当な理由があれば、理事を解任することができる権限を持ちます。
イエレン現財務長官が4年の任期を満了した際には、トランプ前大統領がオバマ大統領の任命したイエレン氏を嫌ったために、パウエル現FRB議長を任命しました。そのパウエル議長は2022年2月に任期満了となります。世界中が、コロナ禍の経済回復に苦労する中、世界で最も金融を緩和しているFRBのトップが、再任されるかどうかに注目していました。
パウエル議長は、任期中に、新型コロナウイルス危機への対応を果断に主導し、その手腕は高く評価されています。難しい環境の中で、市場との対話も積極的に取り、経済も市場も混乱に陥れてはいません。一方で、与党となった民主党には金融業界の規制を強化すべきとの声は強く、そうした意向を持つブレイナード理事を支持する民主党左派勢力の声があったことも事実です。また、パウエル議長は共和党員であり、対するブレイナード氏は民主党員で、過去に民主党政権下で財務省高官などを務めたことも、パウエル再任を微妙にしていました。結局、バイデン大統領はパウエル議長再任を決めました。市場にとっては、穏当な結果になったと、筆者は評価しています。
パウエル議長は、今後、オミクロン株の感染拡大やインフレ圧力の中、金融政策でどう舵を取るか手腕が注目されます。