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<FRB議長の人事に注目集まる>
来年2月に満4年の任期満了を迎えるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の進退が注目されている。
バイデン政権は、パウエル議長を再任する案とブレイナード理事を昇格させる案を検討していると言われる。また、人事を承認する議会上院の動向も気になるところである。
16日、バイデン米大統領は次期FRB議長人事を『4日以内』に決めると記者団に語った。そうなるとこの週末は何らかの報道があるのではないか。既に、今月4日には、パウエル氏とブレイナード氏にそれぞれ面会していたことが米メディアに報じられた。
パウエル議長は、任期中に、新型コロナウイルス危機への対応を果断に主導し、その手腕は高く評価されている。史上との対話も積極的に取り、混乱もきたしていない。一方でパウエル議長は、イエレン前議長を更迭する形で、トランプ前大統領に指名されたという過去を持つ。また、与党となった民主党には金融業界の規制を強化すべきとの声は強く、そうした意向を持つブレイナード氏を支持する左派勢力の声がある。民主党進歩派とされる、マークリー上院議員やホワイトハウス上院議員は19日に、パウエル議長には気候変動のリスクに対応する強いコミットメントが欠けていると不満を表明した。ちなみに、パウエル議長は共和党員で、対するブレイナード氏は民主党員で、過去に民主党政権下で財務省高官などを務めた。
パウエル氏もブレイナード氏も、FRBの運営には長年携わっており、これまでの意思決定にも関与してきた。コロナ禍からの経済再生のために、積極的な金融緩和政策を展開することと、雇用市場の回復を優先することは、共通している。そのため、仮に、ブレイナード氏が新議長になったとしても、金融政策の連続性が失われ、市場の警戒感が強まる恐れは小さいと市場は見ているようだ。個人な意見だが、筆者は、難しい局面が続く中で、市場との対話に実績のあるパウエル議長の続投が市場の安定には望ましいと考えている。ブレイナード氏も、十分な能力と経験があることは、認めるところではあるが。